シンガー・ソングライターの海勢頭豊と佐渡山豊らによる「ゆたかゆたかコンサートinKOZA2024」が9月8日、沖縄市民会館大ホールであった。日本復帰前後の沖縄で音楽を始めた2人が、歌やトークで激動に揺れた沖縄を振り返り、いまなお続く戦争の世にもの申した。市制施行50周年の記念イベントとしてまちづくりNPOコザまち社中が主催した。
海勢頭が今年の宮森小米軍ジェット機墜落事故の慰霊祭で歌った「630の誓い」で幕を開けた。海勢頭愛(バイオリン)、島田路沙(ボーカル)、儀保ノーリー(打楽器)の伴奏で、優しくも重みのある歌を披露した。
海勢頭は他にも、戦後に米兵を相手に商売し、力強く生き抜いたコザの人々を歌った「コザ版どん底夢のテーマ」や、コザ暴動時の熱気を感じさせる「コザキチロック」などを歌った。
佐渡山は語り口調の2曲に反戦のメッセージを込めた。山之口貘の詩を作曲した反戦歌「紙の上」を骨太に歌い上げながら、最後は「戦争なんてつまらんことを」とつぶやいた。「ちがうでしょう」では、憂いを帯びた国吉亮のギターや佐喜眞淳のキーボードによる伴奏の中、米国の矛盾と愚行を佐渡山が嘆いた。
ゲストに沖縄市出身のいっこく堂、しまくとぅばの継承活動に取り組む「沖縄ハンズオンNPO」、うるま市出身のラッパー、カクマクシャカが出演した。
いっこく堂は佐渡山の近所に住んでいたことから親交が深い。佐渡山の代表曲「ドゥチュイムニィ」では、いっこく堂がおじいちゃん人形「師匠」を使った腹話術で声高に歌い、会場から指笛と大拍手が響いた。沖縄ハンズオンNPOは「琉球魂ぬ歌」など、子どもたちの一生懸命な歌と踊りで観客の心を温めた。
フィナーレは出演者全員と観客で、海勢頭の代表曲「月桃」を歌った。カクマクシャカがラップで、平和への言葉を新たに加えた。観客は平和への思いを胸に刻んだ。
(嘉手苅友也)