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宇宙ネットでどこでも通話 災害時や通信困難地域に活用 沖縄セルラーが新サービス


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実証実験で沖縄セルラーの社員(左)が設置した衛星通信「スターリンク」のアンテナ=25日、豊見城市豊見城の沖縄空手会館

 沖縄セルラー電話(那覇市、菅隆志社長)は25日、衛星通信「Starlink(スターリンク)」を使った法人、自治体向けのサービス「Starlink Business(スターリンク ビジネス)」を8月から開始したと発表した。スターリンクの衛星間通信を使ってKDDIの基地局とつなぐことで、電波不感地域でも携帯電話の通話やインターネットのサービスが可能となる。災害時などの通信障害の解消にもつながる。

 同日、豊見城市の沖縄空手会館で、國吉博樹営業統括本部長らが会見し、発表した。

 スターリンクは、米宇宙企業スペースXが開発した衛星ブロードバンドインターネット。高度550キロ上空に打ち上げた約4800基の低軌道周回衛星で、従来の静止衛星が提供する通信サービスに比べて、低遅延で高速なデータ通信が可能となる。同社の親会社KDDIは2020年からスペースXと共同で技術検証を実施していた。

 沖縄セルラーによると、県内企業から「スターリンク ビジネス」の導入を希望する声があり、県内10市町村などにも説明した。

 國吉営業統括本部長は「離島県の沖縄で、100%通信をくまなくカバーするには衛星通信が不可欠だ。スターリンクを利用すれば電波が行き届かない場所でも通信が可能となり、台風や地震による災害などで通信が遮断された場合でも迅速な復旧が可能となる」と強調。「トンネル工事などの通信が行き届かない工事現場でも、衛星通信を使えば可能となる」と事業者向けにも活用できると説明した。

 スターリンクで使用するアンテナは、空が開けた場所で北の空の方角に向けて設置する。「スターリンク ビジネス」は事前登録した地点に設置する固定設置プランと災害時やイベントで活用できる移設プランがあり、利用料金は異なる。さらに海上で利用できるマリタイムプランなどもある。

(金城実倫)