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朝食ビュッフェの料理をお弁当に フードロス削減、沖縄県内のホテルが取り組み


朝食ビュッフェの料理をお弁当に フードロス削減、沖縄県内のホテルが取り組み 那覇市のホテル沖縄逸の彩で販売するランチボックス(提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 たくさんの料理が並ぶホテルの朝食ビュッフェ。宿泊客からの人気も高く、県内でも多くのホテルで導入されている一方、余った食料の廃棄が問題となっている。廃棄される料理を少しでも減らそうと、朝食ビュッフェの余りを弁当として再販するところも出てきた。フードロスを減らす取り組みを始めたホテルの関係者は「食料廃棄物の問題について考えてもらうきっかけになれば」と期待する。

 那覇市のロワジールホテル那覇は、フードロス削減アプリ「TABETE」内で、朝食ビュッフェの余りを使用した弁当を4月から販売している。余り具合にもよるが、通常1日当たり弁当(500円)を3個、サラダ(300円)を約2個用意する。

 購入できるのは午前11時~正午の間に受け取りに来られる人のみで、安全のため午後2時まで食べてもらう。アプリ内で決済手続きが済み、受け取りの際の手間も少ない。購入者にはマイバッグを持参してもらっている。

朝食ビュッフェの余りをボックスに詰めるホテルスタッフら=5日、那覇市のロワジールホテル那覇

 ロワジール・ホテルズ沖縄営業統括部の平良恵美子料飲企画担当課長は、朝食以外での同サービスについて「もう少し人員が増えたら取り組んでみたい」とした上で「提供量をコントロールし、余りを出さないことが一番だが、なかなか難しい」と話す。

 那覇市のホテルグレイスリー那覇でも、22年4月からTABETEを通した朝食の余りの弁当販売を導入した。一つ400円で、販売数は月に20個ほど。

 TABETEの登録店舗は東京都に約千件あるが、沖縄は10件程度にとどまる。グレイスリー那覇の北村正樹総支配人によると、最近は新たなアプリ利用者からの申し込みもあり「少しずつ取り組みが認知されてきていることを実感している」という。

 北村総支配人は「これからも食品ロスの削減の推進に取り組んでいく」と語った。

 独自の柔軟な対応による食品ロスに取り組むホテルもある。那覇市のホテル沖縄逸(ひ)の彩(で)は、朝食付きプランの予約者を対象に朝食持ち帰りができるサービスを始めている。空のランチボックスをフロントで800円で販売すれば、朝食ビュッフェの営業時間内に好きな料理を詰めて持ち帰ることができる。

 2022年3月のサービス開始以降、ランチボックスの販売個数は累計で2千個に達した。1カ月当たり110個ほどの売れ行きだが、それでも料理が余るため、スタッフの賄いに回している。

 ランチボックス販売について担当者は「SDGs(持続可能な開発目標)や食料廃棄問題に興味がある人たちが買い求めている」と説明。最近はランチボックス付きの宿泊プランも売り出している。

 フードロス抑制のサービス提供が、ホテルの新たなセールスポイントにもなりそうだ。

(與那覇智早)