24日付の「琉球新報」に、1面から終面(テレビ面)まで各面の広告スペースに、沖縄に生息する希少な動植物が原寸大で掲載されるという新たな広告展開が実施された。新聞を沖縄独自の生態系に見立て、キシノウエトカゲやヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコなどの生き物たちが森の中から姿をのぞかせているようなユニークな紙面で、めくって驚いた読者も多かったのではないだろうか。
この取り組みは沖縄セルラー電話(那覇市、菅隆志社長)による企画広告。同じく地元紙の沖縄タイムスとも連携した3社コラボ企画となっている。琉球新報は「陸」の生き物、沖縄タイムスは「海」の生き物を紹介。2紙で同日に展開し、沖縄の生物多様性に多くの目を向けてもらう狙いがある。
これまでに、1ページ全面や2ページにまたがる見開き広告という手法はあったが、新聞全体を通して広告枠を“ジャック(占拠)”する展開は珍しい。企業の商品やサービスの宣伝ではなく、自然環境の保護という公共性の高いメッセージ広告というのも特徴だ。
沖縄セルラーは沖縄の生物多様性を可視化するアプリ「ジュゴンズアイ」の活動と連携するなど、希少な固有種の保全に力を入れている。今回の広告にも「人類がずっと生きていく上でも、沖縄の暮らしをもっと豊かにするためにも、生物多様性は私たちがほこる財産になる」などのメッセージを記した。
琉球新報と沖縄タイムスは2022年に、沖縄の日本復帰50年に合わせた合同の紙面広告「ハブとマングースの対話」を制作。普段は競い合う2紙が連携して平和のメッセージを発したことが反響を呼んだ。