沖縄本島地域のタクシー運賃が25日から値上げされた。普通車の初乗り運賃(1・75キロ)は上限額が40円引き上げられ、600円となった。値上げは消費増税の影響を除くと、2016年10月以来7年ぶり。
加算運賃も「365メートルごとに70円」から「400メートルごとに100円」に見直された。
タクシーの運転手不足が課題となる中で、輸送サービスの確保や燃料費高騰への対応、労働条件の改善などが理由。沖縄総合事務局によると、改定による事業者の増収率は15・58%となっている。
名護市の男性(76)は、スーパーに行く際にタクシーを利用している。運賃改定によって、料金はこれまでの1470円から1800円に。月額1万円以上の負担増を見込み「年金生活だから影響は大きい」と嘆いた。
那覇市のパレットくもじ前で迎えを待っていた北谷町在住の女性(45)は仕事で1カ月に十数回程度タクシーを利用するという。「多少は使用を控えなければいけないかも」とけげんな表情を浮かべた。
西原町の会社役員の女性(50)は那覇市内から飲み会の帰りに利用する機会がある。タクシーがつかまらないこともしばしば。運賃改定は運転手不足解消も理由にあり「値上げは仕方ない」と理解を示すものの、「深夜の割増料金も重なると痛い」と率直な思いを口にした。
タクシー業者もしばらく我慢を強いられそうだ。名護市の県立北部病院で客待ちをしていた運転手の男性(73)は閑散とした乗り場を指し「1カ月は3割ほど売り上げが落ちるはず」と見通す。別の60代男性運転手は「今日は仕事にならないはずだ」と苦笑し客を乗せずに乗り場から走り去った。
(小波津智也、増田健太、渡真利優人)