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ヒオウギガイ 沖縄養殖模索 国頭漁協、外海実験へ 赤土モズク打撃、新品目に


ヒオウギガイ 沖縄養殖模索 国頭漁協、外海実験へ 赤土モズク打撃、新品目に 養殖実験に取り組んでいるヒオウギガイの稚貝=10月25日、東村の川田漁港
この記事を書いた人 Avatar photo 福田 修平

 国頭漁業協同組合の養殖部会が、カラフルな貝殻が特徴のヒオウギガイの養殖実験に取り組んでいる。これまでメーンだったモズク養殖は、大雨のたびに深刻な赤土被害に見舞われ、収穫できなくなることもたびたびあった。モズクに代わる新品目として県内でほとんど流通していない、甘みが特長のヒオウギガイに可能性を見いだした。

 国頭漁協によると、2022年は降雨による赤土の流出が93回起きた。県の赤土対策で監視対象の全県76海域のうち、57海域で改善傾向にあるが、農業従事者の高齢化や人手不足で対策が進みにくい状況にあるという。

 モズクは赤土対策が十分でない場合、海水が赤土で濁ることで日照時間が不足し、養殖が困難になる。

海中の赤土の滞積状況を調査する国頭漁業協同組合養殖部会部長の桐原永夫さん=6月26日、東村の川田漁港沖
海中の赤土の滞積状況を調査する国頭漁業協同組合養殖部会部長の桐原永夫さん=6月26日、東村の川田漁港沖

 国頭漁協が22年に実施した赤土流出による被害調査では、赤土の付着などによるモズク養殖の被害が515万円、潜水漁業ができなかった機会損失が5712万円で、合計6227万円の被害があった。養殖部会部長を務める桐原永夫さん(46)=東村=の養殖も被害を受け、21年には収穫がゼロになった。

 事態を打開しようと、桐原さんが着目したのがヒオウギガイだ。1980年代に、県内で養殖実験が実施されていたという。

 桐原さんは、ホタテのような形をした赤や黄色、紫などさまざまな色の貝殻にも魅せられ、漁業としての可能性を感じた。県外では刺身や蒸し焼きなどで親しまれており、桐原さんは「沖縄でもきっと売れるはずだ」と期待する。

 県が9月に実施した10年に一度の漁業権の一斉切り替えに伴い、ヒオウギガイの養殖実験も外海で本格的に実施することが可能となった。

 桐原さんは「本当ならモズクの養殖を続けられるのが一番良い」としつつ、「外海での養殖実験を始められる。成長するヒオウギガイに期待したい」と前を向いた。 

 (福田修平)