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【記者解説】沖縄の地銀3行、日銀の金利政策見極めへ リスク対応が焦点 24年3月期・中間決算


【記者解説】沖縄の地銀3行、日銀の金利政策見極めへ リスク対応が焦点 24年3月期・中間決算
この記事を書いた人 Avatar photo 當山 幸都

 沖縄県内地銀3社の2024年3月期中間決算の記者会見で、各社トップは県内経済が回復に向かうと見通しつつ、金利の動向を巡る今後の日銀の政策を見極める考えを示した。物価上昇や賃上げの動き次第で、マイナス金利解除や金融政策の正常化は現実味を増している。異次元緩和の「出口」を見据え、県内地銀にも金利情勢に対応したリスク管理が求められることになる。

 金利の動向が有価証券の運用に見直しを迫る一方で、今後焦点になるのは、一連の金利上昇局面が地銀の貸し出しや、住宅ローンなどの金利にどう波及するかだ。日銀の政策金利の影響を受ける短期プライムレートが鍵を握る。

 中間決算の発表会見では、各行トップから金融正常化を見据えた発言が相次いだ。

 沖縄銀行頭取を兼任するおきなわフィナンシャルグループの山城正保会長兼社長は「金融セクターに逆風ではなく、フォローの風になる」と強調。金利の先高観のもとで設備投資の動きも活発化していくと見通した。

 「金融環境は大転換点にある」と表現した琉球銀行の川上康頭取はマイナス金利が解除され、貸出金利などに波及した場合に「事業者への影響はさまざま考えられ、明暗が現れる可能性はある」と説明した。

 沖縄海邦銀行の新城一史頭取も「銀行全体にとってはいいことだが、金利は据え置いてほしいという事業者が大多数で、経営が楽観的なものになるとは考えていない」と語る。

 県経済が回復に向かい、コロナ関連融資の返済も本格化しているが、県内3地銀では一部で条件変更があるものの、各融資先の75~85%程度で返済が進んでいる状況がある。「金利のある時代」に、経済の好循環と銀行の収益向上を両立できるかが問われる。

 (當山幸都)