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女性の経営幹部 どう実現 県内主要企業が模索、候補者育成の取り組み広がる


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 県内主要企業が将来の幹部候補となる女性社員のキャリア形成やリーダーシップ向上を図る取り組みに乗り出している。上場企業は2023年3月期から有価証券報告書で女性管理職比率の開示が求められているほか、東証プライム市場に上場する県内4社は30年までに女性役員の比率を30%以上とする政府目標が課せられている。中小企業に変革を促す上でも、主要企業の先導役としての役割は大きい。 (當山幸都)


企業の枠超え学び合い「フェミエール」開講/OFG

 沖縄銀行を傘下に持つおきなわフィナンシャルグループ(OFG)は16日、県内企業の幹部候補の女性職員を対象にした女性活躍推進カレッジ「フェミエール」を開講した。企業の垣根を越え、沖縄セルラー電話や沖縄電力、サンエーなど県内上場企業を含む10社グループから33人が参加。2カ月に一度、経営戦略やモチベーション向上などをテーマに講義やグループワークを開く。

県内企業の女性の経営幹部育成へおきなわフィナンシャルグループが始めた「フェミエール」=16日、沖縄銀行本店

 初回は沖縄弁護士会長時代に同会の男女共同参画基本計画をまとめ、OFG社外取締役でもある村上尚子弁護士を講師に招いた。村上氏は、同会内で女性会員がいない委員会をゼロにする方針を掲げたことを紹介。「(女性は)会社で少数者かもしれないが、居心地が悪いならその違和感についてしっかり提起することが求められる」と強調した。

 ある参加者からは、女性活躍が叫ばれる流れの中で「社内で祭り上げられるように(役職を)上げられている」との戸惑いも聞かれた。

 事務局のOFG総合企画部の鈴木涼子調査役は「研修を通して自信を持ち、前に向かうヒントを得てもらえたら。経営の意思決定に関わる女性輩出を目指したい」と語った。


現役役員らがメンターに、地銀の広域連携も/琉球銀行

 琉球銀行は10月から、女性幹部職育成を目的に役員メンター制度を導入した。メンター制度は、豊富な知識や経験を持つ社内の先輩(メンター)が、後輩(メンティー)の悩みや課題解決を個別に支援する人材育成の手法。来年2月まで月1回程度実施する。役員が支店長級の女性管理職とペアになる「役員メンターコース」、主に支店長級が若手の女性リーダーの成長を支援する「次世代マネジャーコース」を実施する。

 琉銀など地銀10行による広域連携「TSUBASAアライアンス」では、各行の役員と女性管理職による横断型のメンター制度も創設している。

 女性行員は銀行の窓口事務や個人向けの相談業務の場数は豊富だが、法人向けの融資相談に応じる事業性分野の経験が少ない傾向があるという。琉銀南風原支店の平安名育子副支店長は「支店長になるのは漠然とした不安もあるが、知見や経験に学び、魅力的だと思われる人を目指したい」と話した。 


「人財」戦略で女性活躍の成果指標示す/沖縄電力

 沖縄電力は14日、中期経営計画の達成や人的資本経営の実践に向け策定した「人財戦略」を発表した。社員と組織が能力を発揮できる環境整備、社員の成長意欲を喚起する仕組み、個の能力を最大化させる価値「共創」―の三つの方向性を示し、戦略推進へKPI(成果指標)を設けた。

 女性管理職比率を2025年度までに19年度比1・5倍となる5・7%に引き上げることや、技術採用者に占める女性割合を20%とすることを盛り込んだ。男性の育児休業取得率向上や、中途採用に関して24年度に特定分野のキャリア採用を実
施することも打ち出した。

 同社で人財戦略の策定は初めてといい、14日に記者会見した川満秀昭執行役員総務部長は「新しい発想を持ち、果敢に挑戦する人財を求めていきたい」と語った。