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ウミガメに会える海岸 小島博子(EGLOKINAWA代表取締役社長)<仕事の余白>


ウミガメに会える海岸 小島博子(EGLOKINAWA代表取締役社長)<仕事の余白> 小島博子
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 夜が明ける頃、毎日自宅近くの海岸までウオーキングに出掛ける。珍しい花やヤギの親子、ニワトリや烏骨鶏一家を横目に海岸に着くと潮だまりで跳ねる魚、湧き水が湧く場所では羽を休める渡り鳥の群れも見られ、天然の動植物公園のようだ。

 時には産卵に来たウミガメや卵から出て一生懸命に海に向かう子ガメに会えることもある。

 ここには30年前、両親と2世帯住宅を建て移り住んだ。空港から車で30分以内というのは、他県の感覚だと十分便利な場所のはずだったが、県内の人に言わせるとそうでもないらしい。確かに、最寄りのコンビニまで1キロ以上あるこの場所は便利とは言い難い。

 両親も、義母も亡くなり、子供たちも巣立って、夫婦二人、大きな家を持て余し、便利な場所への引っ越しを考えていた頃、コロナ渦になった。当時、会社のあった一等地の家賃は高く、仕事が激減する中で大きな負担になった。

 結局は両親が住んでいたスペースを改装して、事務所にした。亡き両親が応援してくれている気もした。来社される方には不便で申し訳ないが、朝日を浴びながらウオーキングをし、海の見えるオフィスで仕事ができる今の環境を気に入っている。

 漂着ごみが気になる時はウオーキングにゴミ袋を持参する。微力でもウミガメが産卵に来る海岸の環境を守りたい。そして、この海岸が大好きだった今は亡き姉や両親、義母にも思いをはせながら、当分、この場所で頑張っていこうと思う。