有料

観光業界のキーマン動いた夜 つながる経験、広がる賛同…沖縄で避難受け入れへ 能登半島地震


観光業界のキーマン動いた夜 つながる経験、広がる賛同…沖縄で避難受け入れへ 能登半島地震 イメージ写真
この記事を書いた人 Avatar photo 與那覇 智早

「暖かい沖縄で受け入れを進めるべきだ」―。能登半島地震の被災者が沖縄に一時避難できるよう、受け入れ態勢を整える県内観光事業者らを中心とした有志の会が9日にも発足する。沖縄県や県経済界は2011年3月の東日本大震災後に被災者を受け入れた実績がある。観光関係者らは「迅速な支援が求められている今こそ早めに受け入れの準備態勢を整えるべきだ」と力説する。
 
 能登半島地震から3日後、那覇市で開催された沖縄観光新春の集いや県内経済団体の合同新年宴会で、沖縄ツーリストの東良和会長はせわしく各テーブルを移動し、旧知の経営者らに被災者支援の組織を発足させようと呼びかけた。東会長は「首里城火災の時も全国の方から支援をいただいた。ゆいまーるの心で私たちも被災地を支援する必要がある」と語る。

 県は13年前の東日本大震災発生から2週間後、県内各界の約190の関係機関などで構成する県民会議を設置した。同会議が窓口になり、567世帯、1366人が緊急避難の受け入れや中長期的な居住対応、生活環境の整備などの公的支援を受けた。

 当時、県側の担当者だった沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は「東日本大震災では最終的には県が窓口になって被災地支援にあたったが、今回はそれまでの間に関係者で受け入れの準備体制を整えたい」と説明。県への働きかけも同時に進めるとし「旅費・宿泊費の支援などを含め、受け入れ方針を早期に策定してほしい」と求めた。

 県ホテル協会の平良朝敬会長は「家がなく、寒くて大変な人々が大勢いる。1日でも早く暖かい沖縄に連れてこなければならない」と語気を強める。「JTB旅館ホテル連盟でも調整を進めているところだ。全体の動きを見つつ、善意でできる範囲で協力体制をつくる」と述べた。

 県内で全国23の県人会が集まった沖縄全国ふるさと会も、被災者の支援に積極的に取り組む姿勢を示している。東日本大震災の際は、東北地方の県人会が被災者を温かく出迎えた。髙久健治事務局長は「同じふるさとの人の支援で心が休まるだろう。沖縄在住の北陸出身の人たちが同郷の人を支援する動きがあれば、応援する」と話した。髙久事務局長の連絡先は、電話090(9477)5183。 

(與那覇智早)