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東日本大震災で家族が沖縄避難 星明彦氏(総合事務局運輸部長)に聞く 現地ニーズ把握、連携を


東日本大震災で家族が沖縄避難 星明彦氏(総合事務局運輸部長)に聞く 現地ニーズ把握、連携を 沖縄総合事務局の星明彦運輸部長
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 能登半島地震を受け、県内観光事業者らが被災者の一時避難受け入れ推進準備委員会を立ち上げる。民間の支援や、県や国など公的機関との連携の在り方について、東日本大震災で被災し、家族が沖縄に避難した沖縄総合事務局の星明彦運輸部長に聞いた。

 ―被災経験を振り返って。
 「実家は宮城県仙台市内で、当時は雪が降っていた。震災時、母は着の身着のままで避難所に行き、寒くてしょうがない様子だったが、家はぐちゃぐちゃで服を取りに帰るわけにもいかなかった。そうした中、私の沖縄の友人が『沖縄に来たらいいさ』と電話をくれた。母は山形空港から中部セントレア空港を乗り継いで、那覇にたどり着いた。当時、埼玉県に住んでいた妻と子どもたちも沖縄に避難した」
 「被災地の避難所は水もなかったので、水道があるだけでも良かった。一時的な避難だったが、暖かい場所で温かい食事があり、歓迎してくれる人がいるのがありがたく、安心して過ごすことができた。この縁を機に両親や家族総出で沖縄に移住した」

 ―委員会発足の受け止めは。
 「大変素晴らしい話だ。以前お世話になった身だが、今度は沖縄側の立場で関われる。これを機に石川と沖縄の信頼や交流につながれば良い。将来、『お世話になった沖縄のことを勉強したい』と、修学旅行先の候補に挙がることもあるだろう。深い関係性を築くことができれば、それが沖縄の財産になる」

 ―今後、経済団体や県、国でできることは。
 「まずは経済観光関係団体で受け入れの具体案を固めてもらいたい。その情報を被災者に正確に届けて、政府や関係自治体につなげたい。政府としても現地のニーズとのマッチングを円滑にし、被災者が安心して滞在できるように、国の災害対策本部や関係機関と連携し、調整を進めたい」
(聞き手・與那覇智早)