福岡銀行など九州・沖縄の地方銀行11行が16日、半導体産業の集積促進や経済成長を目指す連携協定を締結した。
半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出を機に九州各地で大型の投資計画が活発化しており、地場企業のサプライチェーン(供給網)への参入を金融面から支援する。沖縄県内からは琉球銀行と沖縄銀行が参加。企業のビジネスを後押しし、沖縄にも経済効果を取り込めるか注目される。
設備投資などに必要な資金の融資や出資を見据えたファンド組成のほか、商談会開催を通じた地場の関連企業の参入支援や企業誘致、市場調査などの取り組みで連携を図る。16日に東京都内で会見した福岡銀行の五島久頭取は「11行の強みを持ち寄ることでシナジー(相乗効果)が生まれる」と意義を語った。
県内には現在、うるま市を中心に半導体関連企業が15社程度所在する。半導体製造には安定した電力や洗浄などに利用する大量の水が必要となることから、沖縄は関連企業の集積に適していない不利な面がある。一方、国内唯一の自由貿易地域があり、台湾をはじめとするアジアとの近さや、沖縄科学技術大学院大学(OIST)などの研究機関が立地している強みとして指摘される。
16日の合同記者会見で、琉球銀行の川上康頭取はOISTなどとの連携や、台湾と沖縄を結ぶ航空便の多さなどに触れ「九州と台湾の中継地点として、われわれが新たな発展に貢献できる」と説明。沖縄銀行の山城正保会長兼頭取は、年間を通じて安定している沖縄の気候を挙げ「半導体の製造拠点誘致でも優位性を強調できる」と述べた。
(當山幸都)