2月10日は春節(旧正月)。沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)によると、春節に合わせた中華圏からの大型連休期間中の沖縄への航空路線は約3万1千座席の予約があるが、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年の同時期と比較し、約6割程度にとどまる。大型クルーズによる観光もまだ回復しておらず、県内ホテル関係者は「外国客の割合はそこまで高くない」と見る。
大挙して団体客が押し寄せたコロナ前のような活況は見られないものの、旅行事業者からは「個人旅行客は堅調だ」との声も上がる。
春節時期は3連休も重なるため、国内客も多く稼働率が高い那覇市内のホテル。コロナ禍を経た今年、ハイアットリージェンシー那覇沖縄は外国客は全体の約4割と、前年の2倍ほどの予約が入った。だが、19年と比較すると「そこまで外国客は戻っていない」(中野一良総支配人)。
ロワジールホテル那覇でも春節時期の外国客の客室稼働率は通常時期の約2倍ほどになるが、全体に占める外国客の割合は18%程度だという。ノボテル沖縄那覇でも、外国客の占める割合は高くないという。
コロナ禍後、観光需要は回復しているが、那覇空港国際線は地上ハンドリング職員や保安検査員の人員不足から、増便や新規就航が難しい状態が続く。国際路線やクルーズ船でのインバウンド(訪日客)が完全に回復しない中、中国からの宿泊予約も低調に推移している。
かつて観光消費額の上昇に貢献していた、「爆買い」もなりを潜めている。シンクタンク関係者によると、電化製品や常備薬などを大量に購入するのは中国本土客らが多かった。現在は本土からのクルーズ入港がほとんどないことが「爆買い」がなくなった一因とみられる。
県によると、中国本土から県内への海路入域数は、19年が98万2300人だったのに対し、23年は約6900人と1%に満たない。クルーズ入域客は23年8月以降に少しずつ入港があるものの、回復にはまだ時間がかかりそうだ。イオン琉球の担当者は「爆買いは最近はあまりなく、以前ほど団体の中国客は来ていない」と話す。同社は、春節に備えてお土産用のお菓子や医薬品などの品ぞろえを厚くしている。
貸切バスなどを利用するツアーが多かった中国からの観光客は、コロナ禍を経て団体から個人旅行に移行している。中国客の利用が多い旅行商品販売事業者(OTA)によると、個人旅行での沖縄への入域数は「コロナ前の9割ほどに回復している」(担当者)。
日本沖縄華僑華人総会の東江芝軍会長は「中国人観光客からは『久しぶりに沖縄に来られてうれしい』という声をよく聞く。以前より中国路線の航空予約率は高まっているそうなので、円安も合わせて、今後も中国からの観光客が増えるだろう」と話した。
(與那覇智早)