有料

泡盛の蒸留かすで「魚礁」を製造 沖坤(名護) 漁場づくりやサンゴ増殖に期待 沖縄


泡盛の蒸留かすで「魚礁」を製造 沖坤(名護) 漁場づくりやサンゴ増殖に期待 沖縄 鹿児島県の与論町漁協と実施したアミノ酸含有マグネシウムで作られたサンゴ礁ブロック台の実証実験=2021年9月23日撮影(沖坤提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 金城 大樹

 コンクリートの製造・販売を手掛ける沖坤(名護市、宮城勝社長)は、泡盛の蒸留かすを再利用した「アミノ酸含有マグネシウム固化体」で、魚礁ブロックやサンゴ養殖基盤材を製造・販売している。

 同社は2018年から、固化体を使用した魚礁ブロックで藻場を形成する実証実験などに取り組んでいた。蒸留かすに含まれているアミノ酸には、海藻類の付着促進などの効果があり、漁場の形成や海洋環境の改善などにつながることが期待できるという。

 固化体は、有機物である泡盛の蒸留かすが素材で、通常のコンクリートとは違ってセメントで固めることができないため、マグネシウムを使って固めている。現在、固化体を使った魚礁ブロックやサンゴ養殖基盤材は、漁協などを中心に県内外11の企業・団体が利用している。

 マグネシウムは有機物と混合させても固まるほか、生物に無害で、中性~弱アルカリ性(海水とほぼ同じpH)のため、環境への負荷が少なくなるという。

 沖坤によると、泡盛の蒸留かすに含まれるアミノ酸には、微生物や海藻類の付着を促進するほか、魚を誘引する効果もある。また、サンゴの成長や骨格形成にもアミノ酸が関連しているという。

 同社は21年2月、国頭漁協と協力し、固化体を使った魚礁ブロックと通常のブロックで、モズクの生育量を比較する実証実験を行った。同年2月21日に、東村奥間の沿岸に種付けしたブロックを沈設し、85日後に収穫したところ、最大で約3倍も固化体を使った魚礁ブロックの方が収量が多かった。

 また、22年9月ごろには、サンゴの養殖事業を手掛ける沖電開発が、固化体で作られた基盤材を使用してサンゴの養殖実験を実施。約2カ月の間、浦添市牧港の沖合で実験したところ、担当者から「従来の基盤材などよりもサンゴの活着がいい」と評価された。21年9月には鹿児島県の与論町漁業協同組合も固化体を使ったサンゴ礁ブロック台の実証実験を実施した。

 宮城社長は「みんなが価値がないと思っているようなものを、価値あるものにしていきたい。今後も、藻場の形成やサンゴの増殖に貢献できるような製品作りに取り組んでいきたい」と話した。 

(金城大樹)