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感性と魅力のマッチング 辻上弘子(琉美インターナショナルビューティカレッジ校長) <仕事の余白>


感性と魅力のマッチング 辻上弘子(琉美インターナショナルビューティカレッジ校長) <仕事の余白> 辻上弘子
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 こんなつぶやきを耳にする。「ここにはいつまでも勤め続けられない」「今の時代は転職してキャリアアップでしょ」などなど。そうなのかと思う一方で、昔は石の上にも3年だったけれどね、と感じたりもする。

 私はいわゆる美容師養成の専門学校に勤務している。厚生労働省統計で美容師3年以内離職率は約80%。冒頭のつぶやき通り、経営者は常に従業員離職の危うさを頭に入れなければならない昨今である。

 就職後、長く働き続けられるかどうか。そのポイントには学生時代の学びと就職先との相性が挙げられる。全国どこの美容学校でも国家資格である美容師免許取得には1400時間の学習が義務付けられている。それ以外の時間で、さらなる試験対策を提供するのか、あるいは何か別のものを学ばせるのかが各学校の特色にもなる。

 本校では試験突破の力を付けてもらった上でプラスアルファとして、現場サロンで通用する限りなく実践的な技量を身に付けさせることに力点を置いている。その上で、どこの企業へ送り出すのか、本人希望の個別マッチングに注力する。

 働くことに喜びのカケラを見出し、就職先のキラキラ具合がうまく融合するかどうかである。ひそかな自画自賛だが、本校卒業生の3年以内の離職率は19%と全国比で極めて低い。せっかくめぐり会った勤務先で働く喜びを見出せる感性と、企業の魅力がうまくマッチすると、石の上にも3年が、5年、10年となり、雇用主にとっても大切な人材になっていくはずだ。

辻上 弘子 つじがみ・ひろこ

 琉美インターナショナルビューティカレッジ校長。1962年5月、山口県生まれ。32年間、沖縄県立学校に勤務し、糸満高校、南風原高校、名護高校で校長を歴任。2023年3月名護高校を退職。同年4月から現職。県教育委員会委員。趣味は読書、ガーデニング。