翻訳業に携わっていた南城市出身の本村英二さん(34)が英国ロンドンで起業し、AI(人工知能)を活用した事業の開発に挑戦している。本村さんが代表を務めるITサービスのティーダテックは3月、通信アプリLINE(ライン)で入力文字に合わせた画像が自動で生成されるサービス「いまじん」の提供を始めた。
「自分の頭の中での考えをビジュアル化することは、ビジネスシーンでも生かすことができる」と、画像生成AIがデザインや商品開発などに活用できる可能性に注目。「デジタルディバイド(情報格差)がある世代に届くようなプロダクトを提供したい」と目標を語った。
本村さんによると、AI画像生成の技術は英語を主体として開発され、英語圏以外が触れるには敷居が高かったという。翻訳業の傍らで、公開されている生成AIのオープンソースソフトウエアで制作の技術を身につけた。AI画像生成サービスは徐々に広がっているが、LINEのシステムを活用して日本語で利用できるよう作り込むことで、誰でも手軽に利用できるよう考案した。
いまじんは、誰でも無料で使える「文字からモード」で画像にしたいものを日本語で送ると、すぐに生成された画像が返信される仕組み。
数カ月前までは数百万円がかかった技術が今は無料で使えるなど、生成AIは日々進化し続けているという。現在、不在票などが届いた時にビデオ通話で健常者に代わりに読んでもらうアプリや視覚障害者向けサービス事業を構想している。
7年前にロンドンに移住し、飜訳業務を行う中で、画像生成AIに触れることが多かったことが起業のきっかけ。英語での情報発信が主流で、まだまだ日本人は利用しづらい環境にあることから、沖縄に住む家族などにも気軽にAIに触れてほしいと一念発起した。本村さんは「『最先端技術のハードルを低く』をビジョンに、誰でも手の届くところでサービスを提供していきたい」と抱負を語る。
(與那覇智早)