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宝を磨く 辻上弘子(琉美インターナショナルビューティカレッジ校長) <仕事の余白>


宝を磨く 辻上弘子(琉美インターナショナルビューティカレッジ校長) <仕事の余白> 辻上弘子
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 縁起物の柏(かしわ)餅を食べる端午の節句を迎えた。「子ども」は成人の対概念である。成人後に「まだ子どもだね」と言われる状況から早く脱却したいと感じてきた方々も多いはずだ。幼少の子どもが宝となる過程には、家庭や学校での教育が欠かせない。

 その後、振る舞い方や思慮深さを身に付けるのに必要不可欠となってくるのが、社会人として学び多い貴重な時間の積み重ねだ。全方位からの宝となるには学校を出てからが勝負というわけである。そうは言っても、子どもは存在自体がもはや宝だ。大切なのは「玉磨かざれば光なし」。いくら素質があっても、それを磨かなければ立派な人間になれないのだ。

 家庭での教育力は言うに及ばず、その後の社会生活の中で一層磨かれることによって、職場で、地域で、さらには世界で活躍する人財へと成長していくのである。いくら環境が素晴らしくとも、伸びたいと願う本人の心と適切な技量なしには無理な相談である。

 職場では、礼儀を知らぬということが罪のように扱われることもあるかもしれない。挨拶(あいさつ)、整理整頓など仕事以前のスモールステップが必要な場合もある。「仕事が人をつくる」とはよく言ったもの。そうして重要な資質を育てていくのが経営者の醍醐味(だいごみ)の一つに違いない。何より働く者本人が自身の成長を実感できれば、彼らにとって最高の職場となる。

 ここまで書いて「ふふふ。言うだけは簡単だからね」と、もう三つ目になる柏餅に手を伸ばす私であった。

辻上 弘子 つじがみ・ひろこ

 琉美インターナショナルビューティカレッジ校長。1962年5月、山口県生まれ。32年間、沖縄県立学校に勤務し、糸満高校、南風原高校、名護高校で校長を歴任。2023年3月名護高校を退職。同年4月から現職。県教育委員会委員。趣味は読書、ガーデニング。