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実態ない事業で補助金申請 沖縄県の観光事業者向け 4割が不交付


実態ない事業で補助金申請 沖縄県の観光事業者向け 4割が不交付 国際通りを渡る大勢の観光客ら=2022年7月
この記事を書いた人 Avatar photo 與那覇 智早

 事業の実態が確認できないなど不正が疑われる申請が相次いで確認された県の「県観光事業者継続経営サポート事業」。不正が疑われる事例などを背景に事業採択された385事業者のうち、約4割が不交付となったことで、予算執行率は約36%にとどまった。

 同事業は2022年度から23年度までの2年間に実施されていた。国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、総事業費は約10億4千万円を計画。県によると、事業の策定段階では500社を選定し、約11億円の執行を想定していた。しかし実際は230社、交付額は計約4億円だった。

 支援事業は正規職員の新規採用にかかる人件費や採用経費、集客のイベントの実施を伴う広報・プロモーション、施設情報のオーブンデータ化などが補助対象で、補助金額は600万円を上限に、従業員規模に応じて決まっていた。

 採択事業は、終了後に補助金が支給される仕組みだが、事実関係が確認できないことなどから申請取り消しが相次いだ。

 県観光政策課は「多くの事業者を救済する目的で、申請のハードルを低くしていた。あくまでも補助金なので事業ありきだが、給付金と勘違いしてしまった事業者も多かったのではないか」と推察した。

 その上で「今後は同じような補助制度があれば運用の仕方を見直し、事前の周知を図るなどで適正な交付を行っていきたい」と話した。

 (與那覇智早)