沖縄周辺海域の漁場などを調査する県水産海洋技術センターの漁業調査船「図南丸」が30年ぶりに造船され、関係者が9日、糸満漁港内で披露式典を開いた。
音波の連続発射で魚群などを探知できる装置や水深700メートルまで網を引けるウインチなどを装備。これまでは未利用状態だった底物資源などの把握を進め、深海性エビ類など新規漁業資源の開拓も目指す。将来的には、県内の漁業組合との情報共有や連携協力も見据えているという。
図南丸は初代が1927年に就航。昨年末まで4代目が29年間稼働し、マグロやソデイカの漁場や回遊行動、マチ類保護区などの調査を実施してきた。
今回の新造船は5代目となる。全長44・3メートルで総トン数は222トン。既に2月末から運用を始めている。
県によると、設備などの更新により、広い範囲での漁場調査が可能となった。生息生物や水質、海底の起伏などを確認することで、漁場選定の基礎情報として活用することができる。
各漁場の資源量を正確に把握することで乱獲などによる枯渇を防ぐなど、今後水産資源の持続可能な利用に向けた調査を進めていく。
式典では、玉城デニー知事の代読で照屋義実副知事があいさつし「図南丸には希望と期待が込められている。県水産業の持続的発展に貢献できるよう、まい進していく」と力を込めた。
(新垣若菜)