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賃金動向と企業の景況感 要素の掛け合わせでヒントを得る <けいざい風水>


賃金動向と企業の景況感 要素の掛け合わせでヒントを得る <けいざい風水>
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 企業の賃金引き上げに関する報道を目にする機会が増えています。物価動向や従業員の確保などに関して県内企業を取り巻く環境は変化していることが分かります。おきぎん企業動向調査は、企業による四半期ごとの景況感やトピックスを盛り込んだスポット調査も実施し、県内企業の景況感や各種取組の動向を把握できます。

 賃金動向に関しては、直近2024年1~3月期に簡易的な整理が行われており、「引き上げ予定」の企業は全体の44・3%(282社中125社)で、2年前の前回調査結果(手法等が異なり比較分析ができませんが)より高くなりました。県内でも賃上げの動きが徐々に浸透しているのでしょう。

 さらに景況とクロスさせてみると、表で示す通り、「引き上げ予定」の企業群のDIは48・0と全体の41・1より高いことが分かります。ちなみに前回調査でも同様な結果となりました。

 「検討中」や「実施しない」企業群では全体業況DIより低いものの、内数を示す「(1)業況好転」や「(2)不変」と回答した企業の割合が高く、今後の業況動向によっては賃上げにつながる可能性もあります。そうなれば経済主体(企業→家計→企業)でカネの流れが活発化することで地域全体での好循環が期待されます。このように、各要素を横断して集計することで新たな視点での企業動向が整理できます。企業行動を個別にさらに深掘りできるよう、他の情報も掛け合わせてさらなる企業のニーズ発掘や支援強化に向けたヒントを探る必要があります。

この記事を書いた人
當銘 栄一 おきぎん経済研究所