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アジアへの商機、地の利生かす YKKAP傘下 金秀アルミ工業社長・松本隆男氏<焦点インタビュー>


アジアへの商機、地の利生かす YKKAP傘下 金秀アルミ工業社長・松本隆男氏<焦点インタビュー> 今後の展望を語るYKK APグループ 金秀アルミ工業の松本隆男社長=6月7日、琉球新報社
この記事を書いた人 Avatar photo 当間 詩朗

 県内唯一のアルミ押し出し、サッシ組み立ての一貫生産・販売を手掛ける金秀アルミ工業。生産力の強化やアジアへの展開を見据えて戦略が一致し、大手アルミ建材メーカーのYKKAP(東京都)が全株式を取得、完全子会社化した。金秀アルミ前社長の坂上勉氏は会長となり、社長にはYKKAPから前生産本部四国製造所素材製造部押出ライン長の松本隆男氏(55)が就任して再出発を切った。松本社長に子会社化の経緯や今後の展望などを聞いた。


―子会社化の経緯は。

 「九州工場からアジア地域に供給している。ちょうど間の沖縄に押し出し機や表面処理、着色、加工する設備が整っている。地の利を生かし、アジア地域への足がかりとしたいと考えた」

―アジアのメーンターゲットは。

 「台湾を考えている。インドネシア工場もあり、市場も成長を続けているが、インドネシア国内分だけでは繁忙期に対応できない。そこの供給能力の補完という意味もある」

―今後の目標は。

 「今後3年以内に生産技術を磨き、生産量3倍を目指す。今の工場は1日8時間稼働だが、24時間体制での稼働も目指す」

―アルミの原材料高などの課題もある。

 「金秀アルミは海外から調達しているが、YKK傘下に入ることで九州工場からの仕入れに変更する。スケールだけでなく、品質の面でもメリットがある」

 「沖縄工場の電気代は本土工場の3倍で改善が見込める。コスト削減策として新しい設備を導入し、省エネと生産量増加を両立させたい」

―技術向上の具体的な取り組みは。

 「現場教育という形で、本土の工場から技術職員に来てもらう。金秀の社員も期間を設けて、本土工場に派遣し、生産技術向上を図る」

―抱負と「金秀」の看板を残した理由を。

 「沖縄の生産拠点をアジアへのハブとしたい。インドネシアの田舎では木の窓が多く、そこをすべてアルミに換えていきたい。将来的にはベトナムやタイなどへの進出も目指したい」

 「県民は金秀に親しみを持っており、金秀ブランドを上手に使いたいと考えた。しかし、親会社ではなくなったので、いずれは社名変更も検討していくことになるだろう」

 (当間詩朗)