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総合物流企業へ モーダルシフトは「追い風」 琉球海運・比嘉茂社長<焦点インタビュー>


総合物流企業へ モーダルシフトは「追い風」 琉球海運・比嘉茂社長<焦点インタビュー> 記者の質問に答える琉球海運の比嘉茂社長=3日、那覇市西(喜瀨守昭撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 當山 幸都

琉球海運(那覇市)の社長に比嘉茂氏(61)が就任した。日本本土や台湾との貨物運送を担う同社は近年、陸上施設の投資にも力を入れる。トラック運転手の残業規制が強化された「2024問題」や、貨物輸送を環境負荷の小さい船舶などへ転換する「モーダルシフト」への対応を含めた今後のかじ取りについて聞いた。

 ―就任の抱負、力を入れる分野は。

 「来年1月に創業75年を迎える。より一層沖縄経済の発展に貢献し、県民のお役に立てる企業を目指す。今期は第6次中期経営計画がスタートした。7隻の大型貨物(RORO)船、4隻の小型貨物船、7カ所の総合物流センターを運営するグループ会社との連携を強化し、総合物流企業として最大限のシナジー効果を追求する」

 ―海運業の収益をどう伸ばすか。

 「7月にRORO船の『かりゆしII』が就航したのを機に航路を再編した。京阪神航路を2隻から3隻の運航にし、他社との業務提携を合わせ週4便体制に増便した。東京―沖縄と大阪―沖縄の航路を強化し、実績を増やす。九州航路は5隻から4隻体制になったが、1隻の船腹(積載量)が増え効率が上がった。有効活用で収支を改善する」

 ―政府が進めるモーダルシフト、「2024年問題」の影響は。

 「船舶を使うことで二酸化炭素(CO2)排出量を削減でき、24年問題を踏まえてもモーダルシフトは追い風になる。ただ、関東関西圏の1日の輸送物量はトラックが97・4%を占め、海運は約1%とまだ少ない。海上輸送自体は運賃が安くても、港と港だけでなく工場間、目的地までを結ぶ『ドア・トゥー・ドア』では割高になるため、課題に取り組んでいく」

 ―陸上の物流施設の整備にも力を入れている。

 「自社の総合物流センターが県内外に7カ所ある。2010年以降、陸上施設に304億円、船舶に280億円を投資してきた。モーダルシフトによる貨物需要の拡大を見越し、昨年は大阪南港に土地を確保した。グループ会社で運営しており、船舶の利用とワンストップサービスで物流をこなしていく」

 ―脱炭素経営にはどう取り組むか。

 「6次中計の基本方針の一つにESG経営の強化を掲げた。その一環でりゅうせきと連携協定を結び、RORO船3隻の那覇新港停泊中にカーボンオフセット認証を受けたA重油を使用する運用を始めた。スモールスタートだが、環境問題に取り組めない企業は社会的に受け入れられない。社会貢献の努力を続けていく」

(聞き手・當山幸都)

<プロフィル> ひが・しげる 1963年8月生まれ、豊見城市出身。沖縄国際大卒業後、86年入社。常務、専務を経て今年6月に社長に就任。趣味は野球とゴルフ。