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強い沖縄経済つくる 価格転嫁と賃上げ推進 那覇商工会議所会頭・金城克也氏<焦点インタビュー>


強い沖縄経済つくる 価格転嫁と賃上げ推進 那覇商工会議所会頭・金城克也氏<焦点インタビュー> 就任後の展望を語る那覇商工会議所の金城克也会頭=9日、那覇商工会議所
この記事を書いた人 Avatar photo 島袋 良太

 那覇商工会議所の新会頭にりゅうせき相談役の金城克也氏(68)が就任した。那覇商議所会頭は県経済団体会議の議長も務め、商議所の会員企業の支援に加え、県経済の活性化、人手不足や原材料価格の高騰などの課題にも取り組む。今後のかじ取りについて聞いた。

 ―就任の抱負を。

 「会員企業の発展、県都那覇市の経済発展を図ることが役割だ。職員と一体で取り組んでいく。県経済団体会議の議長も務める。他の経済団体と連携し、強い沖縄経済をつくり、県民所得の向上を図っていきたい」

 「具体的にはまず経済団体で一致して取り組んでいる『GW2050 PROJECTS』(那覇空港と米軍基地返還跡地の一体的な開発構想)だ。実現に向けて行動していきたい。また2026年に予定される第6次沖縄振興計画の中間見直し、沖縄関係税制6項目の延長にも取り組んでいきたい」

 ―県経済の現状をどう認識しているか。

 「新型コロナが5類に移行し、観光客が戻ってきている。23年度は国内客が727万人と過去最高に達し、コロナ前を上回っている。外国人観光客はまだ戻りが鈍いが、ここも回復し、県経済は拡大に向かっていくと期待している。ただここに来て、県内企業は人手不足、物価高、人件費の上昇といった問題にも直面している。今年10月からは県内の最低賃金も50円以上アップする。これは経営課題だ」

 「これらの課題にどう取り組むか。昨年8月には国、県、金融機関、労働団体、経済団体で適正な価格転嫁と賃金引き上げの推進を図り、地域経済の活性化を目指す共同宣言をした。この実現に取り組む。県民や取引先の理解を得て価格転嫁をしっかり図る。大企業は比較的転嫁が順調に進んでいるが中小企業はライバルが多く、価格競争が激しい。価格転嫁と賃金アップの実現、そして消費活性化による良い循環を発信していきたい」

 ―会員企業の経営支援にどう取り組むか。

 「4300余の企業が所属しているが、ほとんどが中小企業だ。まずは中小支援だ。補助金、新事業に対する制度融資などを活用した販路拡大や新規事業の開拓、セミナーによる情報提供、専門家による経営改善支援などに取り組んでいく。事業再生や事業承継の支援も強化する」

 「デジタル化の促進、外国人観光客に対応できる人材育成も図りたい。実践的な外国語講座や人づくりセミナーなど、現在の取り組みも強化する。人材育成は組織づくりも大切だ。私たちは単に賃金のために働くわけではない。自分自身の成長ややりがいを達成できる職場づくりに取り組んでいくのが、会頭としての役割だと思う」

 (聞き手・島袋良太)