prime

美容にかける想い 辻上弘子(琉美インターナショナルビューティカレッジ校長) <仕事の余白>


美容にかける想い 辻上弘子(琉美インターナショナルビューティカレッジ校長) <仕事の余白> 辻上弘子
この記事を書いた人 Avatar photo 外部執筆者

 ドラッグストアで女の子たちの「男性用メイク売り場だ!」と驚く声で振り向き、同じくびっくりしたのが懐かしい。多様な社会である。言葉通り、本校も様々な学生でいっぱいだ。国家試験にまっしぐら。うらやまれるモデル体型だが他からの評価には無頓着。仲間からの影響を上手に自分の技に取り込む者等々。

 その中に韓流スターかと見紛う男子学生もいる。彼は日常的に化粧を施している。1年生の半ば頃まで、顔がコンプレックスだとマスクを外さなかったのだが、学生が演出やメイクなど全てを担い、学びを披露するビューティーステージを経験したあたりから、自然体で振る舞えるようになった。メイク全国大会入賞作品カレンダーを被写体として飾るほどとなったのである。現在は就職活動として、適性を考えた希望サロンを探している。

 無理に白黒をつけないボーダーやグレーの中に心地よく漂う面白さ。化粧品愛用男子、日傘男子も増加中だ。これまた新たな雇用創出につながる。男性向け化粧品業界は急速に成長。2018年に4億円だった市場規模が21年には20億円に達し、成長が見込まれる。市場規模の拡大は新たな収益源をもたらす。

 美容の力はボーダーレスで万国共通。ニッチからユニバーサルまでその潜在力は群を抜く。美容とは本人の気づいていない魅力を引き出す助けとなったり、新たな雇用創出を生み出したりもする。だからお願い、美容学校の校長にだけは是非とも、特別効き目抜群の美容力&経済力を標準装備させてほしい。

辻上 弘子 つじがみ・ひろこ

 琉美インターナショナルビューティカレッジ校長。1962年5月、山口県生まれ。32年間、沖縄県立学校に勤務し、糸満高校、南風原高校、名護高校で校長を歴任。2023年3月名護高校を退職。同年4月から現職。県教育委員会委員。趣味は読書、ガーデニング。