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「あの時、私は」 國場幸智(大和証券那覇支店長)<仕事の余白>


「あの時、私は」 國場幸智(大和証券那覇支店長)<仕事の余白> 國場幸智
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 2003年、大和証券から内定をもらって間もなく、りそな銀行が国有化され、株価は反転上昇となった。入社後、関西の支店に配属され、05年の小泉首相の郵政解散の上昇相場、06年ライブドアショック、07年サブプライムショックによる下落があり、08年リーマン・ブラザーズ破綻に端を発した世界金融危機が起き歴史的な暴落となった。

 東京の市場部門への異動後も、10年のギリシャの財政危機が欧州債務危機をもたらし、11年には東日本大震災に見舞われた。12年11月に衆議院解散が決まるとアベノミクス相場となり、13年4月には黒田バズーカと呼ばれた、日本銀行による異次元の金融緩和が始まったが、直後の13年5月には米FRBバーナンキ議長による唐突な量的緩和縮小を示唆する発言により、バーナンキ・ショックと呼ばれる一時的な大幅調整局面となった。

 その後も15、16年のチャイナ・ショック、英国EU離脱、トランプ大統領誕生、20年のコロナ・ショックによる大幅調整があった。大きな下落時は、大きなチャンスでもあった。

 市場参加者には忘れられない相場の大変動があり、「あの時、私は…」と振り返る。今回の大きな下落は沖縄で遭遇した。昨今は出来事の重要性に比して価格変動が大きくなっているように思う。取引手法の高度化が市場の反応を増幅させて久しいが、四半期ごとに決算のある機関投資家と異なり、長期保有が可能な個人にとって時間が最大の武器となることは今も昔も変わらないと考える。

國場 幸智 こくば・ゆきとも

 1981年12月、米国ニューヨーク州生まれ。生後すぐ帰沖し、昭和薬科大学附属高校卒、早稲田大学政治経済学部卒。2004年に大和証券入社。19年間の県外での勤務を経て、昨年4月から那覇支店長。14代目で初の県出身支店長。趣味は読書とお酒を飲みながらする料理。