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水難救助に役立つGPS クアドラ社開発、マリン協実験 長時間の電波発信可能 沖縄


水難救助に役立つGPS クアドラ社開発、マリン協実験 長時間の電波発信可能 沖縄 左手に持つのが「SEAKER」(提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 與那覇 智早

 クアドラプランニング(那覇市、飯野敬明社長)が開発したGPS機器「SEAKER」が、マリンレジャー振興協会による海の見守りサービス実証実験で効果を発揮し、注目を集めている。低消費電力広域通信規格を使っていることが特徴。長距離・長時間の電波の発信が可能だ。マリンレジャー利用客らに携帯してもらうことで、漂流や水難の際の早期救助に役立つと期待されている。

 実証実験で機器を試している同協会は、有用性を認め、早ければ年内にも本島近海と八重山、慶良間全域に5局の通信局を整備し、マリンアクティビティ提供事業者ら向けにSEAKERを1300台リースする予定。

 クアドラプランニング社の飯野社長は「世界初の機器の使用で、水上での捜索時間の大幅短縮が見込める」と話す。

SEAKERを持っている人の移動経路はアプリ上で確認することができる(提供)

 県警によると、2023年の県内での水難事故は過去最多の116件だった。

 マリンレジャー振興協会によると漂流事故の捜索と救助には24~74時間を要する。ソニーの通信規格を使ったSEAKERはピンポイントでの捜索が可能で、実証実験では30分以内の回収に成功したという。

 携帯電話の通信距離は通常約5キロメートルだが、SEAKERは100キロメートル先まで電波を飛ばすことができるほか、位置情報を約200時間発信し続けられる。使用に特別な免許は不要だ。

 海の見守りサービス実証は、総務省の地域デジタル基盤活用推進事業として振興協会が昨年12月に石垣でスタートした。本年度の事業予算は約1億5千万円。

 振興協会は安全対策基準が十分に満たされていると県公安委員会が認めた優良業者(マル優事業者)に向け、機器と通信費を3年間当たり通常価格の半額の3万6700円で提供する。同協会の安里繁信代表理事は「水難事故を一件でも少なくするためにも、ぜひ導入してほしい」と話した。 

(與那覇智早)