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【記者解説】依然大きい都市部との差 沖縄の最賃952円 全国最低の水準、企業への支援も必須 


【記者解説】依然大きい都市部との差 沖縄の最賃952円 全国最低の水準、企業への支援も必須  沖縄労働局の柴田栄二郎局長(右)に答申を手渡す審議会の島袋秀勝会長=13日、那覇第二地方合同庁舎
この記事を書いた人 Avatar photo 新垣 若菜

 沖縄地方最低賃金審議会が答申した最低賃金は中央審議会の目安50円よりも6円高い引き上げ幅となり、952円で決着した。

 国が都道府県の区分別の目安額に差をつけず、一律としたことで、全国との是正格差へ向け前進した。ただ依然として都市部との差は大きく全国最低水準にとどまる。 

 国は昨夏に「2030年代半ばまでに1500円」とする目標を掲げた。県内の改定額を議論する専門部会でも労働者側は、国の目標到達に向け、当初は67円の引き上げを求めた。大幅な引き上げに慎重な姿勢を示した使用者側の提示額とは42円と大きな差があった。

 最終的には56円増で、前回比6・25%の引き上げ率となり、2023年10月~24年6月の消費者物価指数の平均伸び率5・4%を上回った。物価上昇に追いついていなかった賃上げへの後押しとなりそうだ。

 一方で、経営者側からは「賃上げが続くと経営が一層厳しくなり、時給を上げられない企業は淘汰(とうた)される」との悲痛な声も聞こえてくる。中小・零細企業が多い県内では、昨今の物価高騰によるコスト上昇分の価格転嫁が十分にできていない状況がある。

 人材確保による経営圧迫を防ぐためにも、企業が原資を確保するための環境整備が急務だ。国には、審議会が示した付帯決議にある、取引価格の適正化や価格転嫁の取り組みなど実効性のある支援と現実的な議論が求められる。

 (新垣若菜)