石垣―台湾・基隆を結ぶ貨客船の定期航路開設を計画している石垣市は27日、2025年秋に運航を開始すると発表した。
石垣―台湾間の旅客定期船の就航は2008年6月の運航停止以来となる。他自治体を経由せず石垣―台湾のみを運航する貨客船は初。9月中に運営を担う新法人を設立し、韓国の海運会社パンスター社から船舶「パンスタードリーム」(約2万1千トン)を購入する。
市は航路開設によって、台湾からの誘客を図り、基幹産業である観光業の発展に加えて物流を促進することで、台湾と近い地理的優位性を生かし、経済の好循環を生み出したい考え。
貨客船は石垣―基隆を片道8時間で結び、週3往復を予定。平均運賃は片道2万円、市民は1万5千円程度を想定している。客室のグレードによって変動し、最高価格は7万円ほど。
市は6月にパンスター社と基本合意した。9月に新法人が本契約を結ぶ。購入価格は30億円。一部国庫補助金を活用する。船体は25年6月に引き渡される。新法人は台湾大手物流会社ワゴングループと運航委託管理契約を締結する。新法人は日本での集客などを担い、ワゴングループは運航管理をする。
新法人の社長に就任する市商工会の大濵達也会長と中山義隆市長が27日、市役所で会見し、航路開設に向けて説明した。大濵会長は「マーケットの拡大を視野に農畜産物の輸出やサービス業のさらなる発展など多大な社会貢献ができると確信している」とあいさつした。採算性については「大丈夫。そうでなければ就航しない」と黒字運航に自信をのぞかせた。 中山市長も「早期実現に向けて連携し頑張っていく」と決意を述べた。
(照屋大哲)