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沖縄のフードリボン、インドネシアでパイン繊維生産 王族衣装に採用、高い評価 


沖縄のフードリボン、インドネシアでパイン繊維生産 王族衣装に採用、高い評価  フードリボンが開発したパイナップル繊維を使った伝統衣装「ベスカップ」を身に着ける王族=7月7日、インドネシア(提供)
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 【大宜味】天然繊維製造のフードリボン(大宜味村、宇田悦子社長)がパイナップル繊維の生産拠点をインドネシアに開設した。パイナップルの世界的産地で沖縄発の技術を活用し、現地農家の所得向上と地域産業の発展を目指す。同社製造のパイナップル繊維を用いた生地が、現地の王族が着用する伝統衣装に採用されるなど、地元との連携も深めている。

 同社によると、パイナップルの年間生産量は沖縄の約7千トンに対して、インドネシアは約280万トンと多く、世界的な一大産地だ。一方で、農家の所得の低さが課題となっている。

 インドネシアでの事業展開によって、これまで利用されなかったパイナップルの葉が新たな収入源となり、農家の所得向上が期待される。

 インドネシアでの事業展開を目指す中で、現地の王族とのつながりが生まれた。インドネシアは共和国だが、特別な地位として王族があり、伝統行事や文化を継承する役割を担っている。

 現地のマンクネガラン王宮の行事で、7月に開かれた祭り「サトゥ・スーラ」で、王族の1人が着用する伝統衣装「ベスカップ(ジャケットスーツ)」に、同社のパイナップル繊維から作った生地が採用され、質の高さが絶賛されたという。

パイナップル繊維を手にするフードリボンの宇田悦子社長(右)と平良香織常務=8月28日、那覇市

 現地拠点は既に完成し、フードリボンが繊維抽出を手がけ、紡績や縫製などを現地企業と協力し事業を展開する。現地拠点は今後も増設したい考えだ。

 輸入綿に頼るインドネシアの繊維産業の発展や、繊維抽出後の残渣(ざんさ)を堆肥として活用することで現地での循環型社会の構築も期待される。

 宇田社長は「本当の意味で着心地が良い服を作りたい。未利用資源の活用で世界一を目指していく」と力を込めた。

 パイナップル繊維は果実の収穫後に捨てられていた葉から作る。同社は高品質の天然繊維を効率よく抽出する特許技術を開発し、今年5月、大宜味村田港に本社工場を開所した。 

(玉寄光太)