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ムーンビーチ アート拠点に ホテル内ギャラリー10年 県内若手続々、海外誘致も視野


ムーンビーチ アート拠点に ホテル内ギャラリー10年 県内若手続々、海外誘致も視野 ザ・ムーンビーチミュージアムリゾートのギャラリーの利用をPRする(左から)角敏郎アートディレクター、田村ハーコさん、ライターのいしばしあきふみさん、中島聖二郎アシスタントアートディレクター=1日、恩納村
この記事を書いた人 Avatar photo 與那覇 智早

 ザ・ムーンビーチミュージアムリゾート(恩納村)のギャラリーが人気を集めている。新たなアーティストを発掘しようと、10年前にホテルの約300平方メートルのスペースを無料で開放。徐々に存在が認知され、現在は2026年2月まで展示の予約が埋まっているという。ギャラリーを管理する角(すみ)敏郎アートディレクターは「沖縄のアーティストを県内外に広める応援だけでなく、今後は海外からも誘致し、『ハブギャラリー』にしたい」と目標を語る。

 総合芸術をテーマとするホテルに新たに文化的な価値を加えようと、これまでディスコや宴会場として使用してきたスペースを改修し、2014年3月にギャラリーは誕生した。

 オープン当初は収益のない事業を疑問視する声もあったという。しかし、当時の國場幸伸社長や彫刻を専攻していた角さんの「若手の発掘のために無料は譲れない」との強い思いから、現在まで変わらず出展料、入場料無料での運営を続ける。最初は出展者集めにも苦労したが、これまでに延べ100人以上のアーティストがギャラリーを利用した。

 ホテルは宿泊客の約2割を海外客が占める。海外客も多く訪れ、宿泊客や外来客を合わせて1回の展示には約2千人が来場する。展示会をきっかけに活躍している人や、ビジネスのつながりも生まれているという。

 1975年に県内リゾートホテルの先駆けとして開業。ホテル内に同規模のギャラリーがあることは世界的にも珍しいという。ギャラリーをさらに生かそうと、昨年4月に現在の名称に変更し、自然とアートが融合した「ミュージアムホテル」を売り出す。

 作品のジャンルや経験値は問わず、写真展、絵画、彫刻、工芸などを広く募集する。

 現在は10月20日まで、県内で活躍するフォトグラファーの田村ハーコさんが沖縄の残しておきたい場所をテーマに撮った写真に、いしばしあきふみさんの詩や短歌を添えた展示会が開かれている。

 県立芸術大学の助教授時に自身もギャラリーを利用した中島聖二郎アシスタントアートディレクターは「沖縄は東京などに比べてアートイベントが極端に少ない。子どもたちにも身近にアートを感じてほしい」と来場を呼びかけた。

 ギャラリーに関する問い合わせは電話098(965)1020。

 (與那覇智早)