経営コンサルティングのブルームーンパートナーズ(那覇市)の伊波貢代表は、県外の人々が疑問や違和感を抱く沖縄の県民性、独特の価値観について分かりやすく解きほぐした書籍を出版した。県内書店でも売れ筋ランキングに入るなど好評だ。伊波さんは「県民性を笑い飛ばし、ポジティブに沖縄を捉えてもらい移住者の増加につながれば」と執筆の狙いを語る。
タイトルは「沖縄ル~ル 知っておくとビジネスも人間関係もうまくいく!」(あさ出版、税抜き1400円)。伊波さんはこれまでデータを用いて沖縄経済を分析した書籍を出版したことがあるが、今回は感覚的で数値化が難しい「ナイチャーとウチナーンチュの価値観や県民性、文化の違い」をテーマにした。
「たくさんの人から出身地を聞かれるのはなぜ?」「言葉の定義やルールにこだわりすぎない」「とりあえず、シージャ(先輩)は敬う」―。書籍では沖縄に移り住んだ人が抱く疑問を整理し、背景にある考え方を解説している。
例えば、県民性を表現する際によく用いられる“テーゲー”。待ち合わせ時間を「○時くらい」とアバウトに決める思考に慣れることが必要だとと助言。マーガリンも「バター」と一緒くたに呼ぶ習慣には、大きく間違っていなければ許容する県民性を見いだす。
「だからねー」「なんでかねー」「であるわけよー」を沖縄三大“無責任”用語として紹介し、狭い島で意見衝突を避けるため「あえて問い詰めない寛容性やゆるさという特性を身につけたとも考えられる」と説いた。
「ナイチャー」との呼び方は「差別ではなく区別する言葉」と強調し、理解を促す。沖縄の人が出身地を聞きたがるのは距離感や関係性、共通項を探るためだと説明している。こうした価値観の違いを理解していれば、移住やビジネスの成功確率も高まると話す伊波さんは「ウチナーンチュにも思考の違いを感じながら読んでほしい」と呼びかけた。
(當山幸都)