定額制の新車マイカーリースを手掛ける西自動車商会(沖縄市)の津嘉山修社長がこのほど、これまでの事業展開を1冊の本にまとめた。
1998年に始めた新車リースサービスは整備工場主導のビジネスモデルとして全国に広がり、今年6月までに237社がボランタリーチェーンとして加盟し連携するまでに成長した。津嘉山社長は「経営が厳しい整備工場にサービスをぜひ検討してもらい、1人でも多くのユーザーに新車を楽しんでほしい」と出版の狙いを語った。
著書は「沖縄の整備工場が仕掛け人 新車に乗る夢かなえます」(みらいパブリッシング)。車検や税金、メンテナンス込みの現在の定額制リース「スーパー乗るだけセット」の歩みを振り返った。
津嘉山氏は1997年、創業者の義父が病に倒れたのを機に転職し翌年社長に就任した。前職で培った営業力で車検の顧客は増えたものの、既に中古車販売から手を引いており、事業が先細る懸念があった。
その中で着目したのが個人向けの新車リース事業だった。前例のない試みには、リースが複雑で整備工場がやってももうからないことなどを理由に反発は多かった。
そこで、購入した新車をリース会社に販売し、整備工場が代理店となってユーザーとリース契約を結ぶ独自の仕組みを整えた。車検や法定点検の費用も月々の支払いに組み込み、料金設定を分かりやすくしたことで販売台数は右肩上がりに伸びた。
全国展開ではフランチャイズではなく、加盟店同士が地域の実情に合わせたサービスを打ち出せるようボランタリーチェーン(VC=個店連携による共同仕入れ・販売戦略)を選択した。「加盟店同士が仲間として協力し合える」(津嘉山氏)のが利点だという。
リースは現代風にいうと「サブスク」で、特に若い世代には比較的抵抗はないとみられる。全国的に大手コンサルなどで個人向けの新車リース事業への参入が相次いでおり、津嘉山氏は「地方ではまだ認知されておらず、経営に不安を抱える整備工場の経営者は多い。(著書を通じて)こういったノウハウもあるということを提案したい」と話した。