いしみね店長「すごいでしょ〜」、なぜ生まれた? 撮影スタジオに潜入 沖縄<ビッグワン「おもしろさ」の秘密>(1)CMの裏側(1/2ページ)


いしみね店長「すごいでしょ〜」、なぜ生まれた? 撮影スタジオに潜入 沖縄<ビッグワン「おもしろさ」の秘密>(1)CMの裏側(1/2ページ)
この記事を書いた人 Avatar photo 古堅一樹

 「すごいでしょ~!」の決めぜりふとともに、ユニークな商品を紹介する「いしみね店長」のテレビCMでおなじみのディスカウントショップ「ビッグワン」(本社・沖縄市、久保田安彦社長)。合い言葉は「よい品をいつも安く」。県外大手の参入など競合が激化する沖縄のディスカウント業界にあって、地元沖縄の消費者のニーズに応える商品発掘やCM展開で差別化を図っている。県内企業の成功の要因や成長の歴史を追う「企業発展シリーズ」。サンエー、大川家具に続き、今回はビッグワンを取り上げていく第3弾。普段は見られないビッグワンの裏側に潜入し、アイデアが生まれる現場を取材した。(古堅一樹、熊谷樹)

約7年でCM600本出演

 ワイシャツ、ネクタイに赤いエプロン姿がトレードマークビッグワンの社内タレント「いしみね店長」が出演するCMは今や、売り上げ促進に欠かせない。テレビで放送するだけでなく、店内限定で放送するCMもある。約7年間で出演したCMは実に約600本に上る。

 CM撮影用のスタジオは、本社内に構える。自前で確保することでコストも抑え、季節や社会状況、沖縄の消費者の需要に合わせ、いつでも撮影し、発信できる環境を整えている。

小型マッサージ器のCM撮影に臨むいしみね店長=2月、沖縄市海邦町のビッグワン本社

舞台裏のキーマン

  いしみね店長のキャラクターが際立ち、お茶の前でおなじみになったビッグワンのCM。しかし、仕掛け人となってCMづくりを統括しているのは、同社の大城智史常務(48)だ。高校卒業後、18歳でアルバイトとしてビッグワンで働き始め、22~23歳のときに入社して社員となり、計約30年間もビッグワンで勤務してきた。仕入れから店頭の販売まで、各現場を熟知しているキーマンとして社を支える。

打ち合わせに参加するCMづくりを統括する大城智史常務=2月、沖縄市海邦町のビッグワン本社


 実際、どのように制作が進むのか。撮影の現場を取材した。まず撮影開始の30分前。大城常務は、委託会社のカメラマンや動画編集を担当するスタッフと膝を交え、事前の打ち合わせを始めた。一緒に言い回しを何度も試しながら、シナリオとなる絵コンテの当初案へ次々に赤字を書き込み、変更していく。

大城智史常務(中央)を軸に、せりふやリズムを何度も試す撮影スタッフら=2月、沖縄市海邦町のビッグワン本社(喜瀨守昭撮影)

決めぜりふの誕生!

  実は、いしみね店長の決めぜりふ「すごいでしょ~!」も、撮影前の打ち合わせで、絵コンテを調整していく中で生まれたという。いしみね店長がCMに出演し始めた当初、大城常務が「こういうことができるんですよ、すごいでしょ~」と身ぶりを加えて話す姿が打ち合わせの参加者が面白がり、毎回せりふとして取り入れるようになったそうだ。

ビッグワンの別商品について先にCM撮影を終えたタレントの大城優紀さん(右)と、休憩時間にユーモアたっぷりに笑顔で記念撮影をするいしみね店長=2月、沖縄市海邦町のビッグワン本社