公立の夜間中学の開設「戦争あった沖縄、どこよりも必要」 取り組みの遅さ指摘 元教師ら議論


社会
公立の夜間中学の開設「戦争あった沖縄、どこよりも必要」 取り組みの遅さ指摘 元教師ら議論 壇上で県立夜間中学開設の意義を語る盛口満沖縄大教授(右端)、主催者の関本保孝さん(同2人目)ら=11日、那覇市の沖縄大学
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 「那覇市での県立夜間中学開設を考える こんばんはⅡ上映会」(共催・沖縄大学、夜間中学校と教育を語る会)が11日、沖縄大で開催された。夜間中で学びの機会を得た人たちに迫った映画「こんばんはⅡ」の上映後、夜間中元教師や識者が登壇し、那覇市での県立夜間中開設の意義について議論を深めた。登壇した東京の夜間中元教員、見城(けんじょう)慶和さんは「戦争があった沖縄にはどこよりも設置が必要だ。しかし取り組みは大きく遅れている」と指摘し、早急な設置を訴えた。

 国は2026年までに全都道府県と政令指定都市への設置を目指している。現在は17都道府県に44校設置されているが沖縄での県立夜間中学校の開設は未定。

 那覇市夜間中学検討委員の盛口満沖縄大教授は、検討委が今年2月に「県立の夜間中を那覇市に設置することが望ましい」とする提言書を市教委に提出した経緯を説明した。

 検討委員会では、那覇市単独での予算措置が難しいことや、市外在住者のニーズを考慮して県立夜間中設置が望ましいとの議論があったという。

 一方で市立校開設の意義を主張する意見もある。主催者の関本保孝さんは「どちらにもそれぞれの利点がある。一番の願いは一日も早い公立校の設置だ」と強調した。来場していた自主夜間中運営のNPO法人珊瑚舎スコーレ星野人史理事長も「学びたいと思いながら高齢で亡くなった人たちがいる。のんびりやってられない」と県の取り組みの遅さを指摘した。

 県出身で東京の夜間中卒業者の新崎康文さんも「夜間中は人生の原点。ぜひつくってほしい」と語った。

 (嘉数陽)