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【全国高文祭】「多様性」の使い方議論 前原・名嘉九野さん 「弁論」 沖縄


【全国高文祭】「多様性」の使い方議論 前原・名嘉九野さん 「弁論」 沖縄 弁論部門で発表する前原3年の名嘉九野さん=17日、うるま市の前原高校
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 「集え青き春 漕(こ)ぎ出せ知の筏(いかだ) 水面(みなも)煌(きら)めく清流の国へ」をテーマに第48回全国高校総合文化祭が31日~8月5日、岐阜県内で開かれる。文化庁、全国高校文化連盟などが主催。沖縄県からは郷土芸能や器楽・管弦楽、放送など、15部門に252人が参加する。「文化部のインターハイ」とも呼ばれる芸術文化の祭典で、生徒らは日頃培った力や技を発揮する。本番に向けて意気込む高校生を紹介する。


 1人7分の持ち時間で自らの思いを聴衆に訴える弁論部門には、全国約70人の弁士が参加する。前原3年の名嘉九野さん(17)は、学校やネット上で見聞きする「多様性」の言葉の使われ方に疑問を感じ、「『多様性』とは、自分勝手するための言葉ではなく、皆で認め合い、生きやすい社会をつくっていくための言葉」だと主張する。

 名嘉さんは1年前、学校やネット上で性的少数者や1人で過ごす人をけなす発言を見聞きした。疑義を示したが、「でも、これも多様性」と「発言の自由」を盾に肯定される場面に遭った。違和感を抱きつつ、言い返せなかった。

 後日、学校に招かれた専門家による授業で「多様性は立場の弱い者が自分らしく生きるための言葉。強者が人を傷つけ、否定するための言葉ではない」と学んだ。

 弁論部門の発表では、こうした経験から「価値観が違ったとしても、相手を知ろうと尊重し合うことで、不要に傷つけ合うことが減る」と提案する。大会に向けて「形だけの主張ではなく、誰かにとって変わるきっかけになる発表にしたい」と意気込む。

 昨年にあった別の全国大会では他県の弁士と知り合い、大会後もインターネットを通じて議論を交わす仲となった。「大会では多くの人と話して学びを得たい」と話した。

 弁論部門には豊見城3年の上間真奈美さんも出場する。

 (高橋夏帆)