2021年1月にコザ高校2年(当時)の空手部男子生徒が、部活動の顧問から執拗(しつよう)な叱責(しっせき)を受け自殺した問題で、今年3月に調査報告書を公表した第三者再調査委員会委員長の古堅豊弁護士が7月26日、那覇市古島の教育福祉会館で講話した。古堅さんは、生徒が権利の主体である考え方や生徒の尊厳に対して、元顧問の意識が希薄だったことが自死の背景にあったことについて触れ「自身が尊敬している人と接するように生徒と向き合ってほしい」と呼びかけた。
県高等学校障害児学校教職員組合(高教組)がこの日開いた評議員会で、古堅さんが語った。
調査報告書では、顧問の生徒の人権を無視した言動だけではなく、その行為を学校側が問題視せず、放置した果てに自死が起きたと指摘。学校現場などへの提言として、教師たちが生徒を管理しなくてはならない存在として扱うのではなく、子どもには権利、人権があり、子どもの意見や存在を大事にしなくてはならない、と呼びかけている。
古堅さんは、教員が業務負担により子どもたち一人一人と向かう余裕がないことも指摘し、教育行政改革の必要性も言及した。
再調査前に県教育委員会が主導してまとめた別の報告書では、その調査期間がわずか2週間程度しかなかったことに「県教委の対応は問題だった」と批判した。
組合員や管理職ら約100人が参加した。講話では、参加者から第三者再調査委員会発足の経緯や子どもの人権などに関する質疑が出た。
(吉田健一)