prime

アナウンサー→航空→観光→今は教員、「キャリアは自分で作る」生徒にメッセージ 泊高校・大兼さん 沖縄 


アナウンサー→航空→観光→今は教員、「キャリアは自分で作る」生徒にメッセージ 泊高校・大兼さん 沖縄  自身の職歴や職業選択について生徒に話す大兼連理教諭=9月30日、那覇市の泊高校
この記事を書いた人 Avatar photo 高橋 夏帆

 マスコミ、航空、観光で働いた異色の経歴を持つ教員が県立泊高校午前部にいる。

 今年4月に公民科教諭に転身し、3年生の担任を持つ大兼連理さん(38)がその人。自身が面白そうと感じた職業に挑戦し学びや経験を得てきたことから、生徒に「自分らしさを見失わないで。自分のキャリアは自分で作るという意識を持ってほしい」と思いを寄せる。

 大兼さんは石垣市出身。2008年に東京の大学を卒業後、沖縄テレビ放送で勤めアナウンサーを担った。その後世界を見てみたいと退職し、米フロリダ州で就労プログラムに参加。帰国後は成田空港で地上業務に従事したが、国内で格安航空会社(LCC)参入が相次いだ12年、LCCの客室乗務員に挑戦。さらに、中東の航空会社が勢力を拡大する13年にドバイのエミレーツ航空に転職し、30歳まで勤めた。

 教育業界への転職を決めたのは、香港エクスプレス航空の社員として那覇空港の地上業務委託先を管理・監督していたとき。コロナ禍の後、航空・観光業界の人気が落ち、若手の知識や能力、働くことへの意欲の低下を感じた。特に国外や県外出身者と県出身者とで差を感じ、「働く上での目標設定が甘く、生活資金を稼ぐ手段になっている。高校卒業までのキャリア教育に県外と差があるのではないか」と考えた。

 大兼さんは9月30日、泊高午前部の全学年生徒に自身の経験を話した。職業選択には自分の理想を問う「自己探求」、理想の自分に向けて課題に取り組む「自己挑戦」、課題をこなして知識や経験を増やす「自己実現」が大切だと語った。

 自身は「海外に身を置くことで視野を広く持ち、時代に合った価値観でいたかった」「面白そうという気持ちに従い、新しい学びや経験を与えてくれる仕事に挑戦した。そのために採用を突破する下準備が大事だった」と振り返った。

 人間関係でつらい思いや家庭で課題を抱える生徒に向けて、「自分の意識を変えることで将来を変えていける。自分の経験を伝えることで、生徒の疑問やキャリアサポート、学習への原動力を高めることにつながればと思う」と話した。 

(高橋夏帆)