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アニメ「呪術廻戦」も担当 琉球古典演奏家「美音(みおん)」、豪州で公演「沖縄と世界の架け橋に」


アニメ「呪術廻戦」も担当 琉球古典演奏家「美音(みおん)」、豪州で公演「沖縄と世界の架け橋に」 オーストラリア公演を振り返る琉球古典音楽演奏家の美音=10月12日、那覇市泉崎の琉球新報社(喜瀬守昭撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 田中 芳

 琉球古典音楽演奏家でシンガー・ソングライターの美音(みおん)が、沖縄と世界の架け橋となるアーティストを目指してマルチに活動中だ。オーストラリアのメルボルンタウンホールで10月1日に開催された、沖縄とオーストラリアの先住民アボリジニの文化交流などを目的としたコンサート「Integrated Sun」に出演し、沖縄と日本、アボリジニの伝統音楽の融合をコンセプトに三線とディジュリドゥのコラボレーションなどを披露した。

 コンサートは、2020年のコロナ禍で中止となり、3年ぶりに実施された。沖縄からミュージシャンの日出克や、ゆいゆいシスターズらも出演した。

 美音はオーストラリアの先住民・アボリジニの楽器ディジュリドゥ奏者のサンシと、筝奏者ブランドン・リーらと共演した。美音は「三線にディジュリドゥを合わせると面白みや発見があり、音楽の新しい可能性も見えてきた。文化交流を超えたつながりを意識して演奏できた」と振り返る。コンサートで披露したコラボレーション作品でオリジナルの「夢ぬ間」は11月下旬に配信リリースを予定している。

オーストラリアの先住民アボリジニの楽器ディジュリドゥと三線をコラボレーションして演奏する美音(右)=オーストラリアのメルボルンタウンホール(提供)

 幼少の頃は、ドラムやギター、ピアノなど洋楽器が身近にありロックが好きだったという。中学1年の頃に琉球舞踊を習い始め、高校1年で三線を習った。県立芸大に進学し、在学中にも海外で琉球芸能の舞台に出演を重ねた。卒業後は、カナダ・バンクーバーに語学留学。オーストラリア・メルボルンにも滞在した。「日本の音楽や文化は既に定着しつつあると感じたが、沖縄の三線や文化はまだあまり知られていない」。海外で過ごす中で、沖縄の芸能の素晴らしさを伝えたいという思いが強くなった。

 最近は人気アニメ「呪術廻戦 懐玉(かいぎょく)・玉折(ぎょくせつ)」の収録曲「太陽燦々(さんさん)」では唄と作詞を担当。シンガー・ソングライターの宮沢和史と琉球古典音楽奏者の親川遥によるデュエット「島唄~流奏~」では編曲と笛を担当するなど幅広く活動する。

 美音は「沖縄は芸能が盛ん。海外でどうやって発信したらいいんだろうと思っている子たちがもしいたら、少しでも後押ししたい」と力を込めた。

 (田中芳)