Kiroro玉城千春「あの人の声」をリリース 児童養護施設の子らと制作 自分にとって忘れたくない「声」は…


Kiroro玉城千春「あの人の声」をリリース 児童養護施設の子らと制作 自分にとって忘れたくない「声」は… 配信シングル「あの人の声」をリリースした玉城千春=2月21日、那覇市泉崎の琉球新報社(大城直也撮影)
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 1998年にメジャーデビューし、数々のヒット曲を世に送り出してきた沖縄出身のデュオ「Kiroro」。ボーカルの玉城千春さんは近年、県内の学校や児童養護施設を巡り、子どもたちに歌を届ける活動を続けている。

 今年1月に配信リリースした「あの人の声」は、南城市の児童養護施設「島添(しまぞえ)の丘」の子どもたちや職員の言葉を歌詞にした楽曲だ。「生まれてきてありがとう。未来に向かって自分を肯定して、愛してあげてほしい。私たちもあなたの力を信じているよ」。そんな思いを歌に込めた。

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  2018年にKiroroのデビュー20周年を経て、ソロで21年に「命の樹」と「Hope Dream Future」をそれぞれ配信した。「命の樹」は玉城さんの母校・読谷中学校の生徒と、「Hope Dream Future」は沖縄アミークスインターナショナル中学校の生徒と一緒に制作。コロナ禍で学校生活を制限された子どもたちに向き合い、その言葉をメロディーで優しく包んできた。

20周年記念ツアー最終公演で歌うKiroro=2018年6月10日、沖縄コンベンションセンター劇場棟

 今回リリースした「あの人の声」は子どもたちに向けたメッセージソング第3弾となる。21年春、島添の丘を巣立つ高校3年生8人の「壮行会」のために作った。オンラインで卒園生から思いを聞き取って歌詞に落とし込み、2番の歌詞は「サプライズに」と玉城さんが職員や家族の思いを想像して仕上げた。

 だが、玉城さんは職員らの思いを“代弁”していることにためらいが生まれ、配信できずにいたという。テレビ局のキャンペーンソングとして起用されることになり、改めて職員から葛藤や日々の奮闘を聞き取って歌詞を書き直した。

 タイトルの「あの人の声」にも特別な思いがある。卒園生たちにとっての島添の丘のように、誰にとっても支えになる場所や言葉があるとのイメージからつけた。

 そして玉城さん自身にとっての「あの人の声」は、15歳の自分の声だという。母を思い、人生で初めて作詞作曲した「未来へ」。そのときのまっすぐな思いを「忘れたくない」と語り、今も自分を支えているという。

(大城周子、田中芳)