芸人が輝く場づくりを
沖縄のトップ芸人が集結すると話題になり、入場チケットが早々と売り切れるなど、開催前から注目を集めた「てんたか」ライブ。会場に駆け付けた観客の他、配信の視聴者も加わり多くの人が鑑賞した。本ライブはFEC・オリジン・よしもと沖縄が合同で行ったが、3社連携による開催は意外にも初。今後連携をより深めていくとのことで、関係者に話を聞いた。
出演芸人は各事務所3組ずつで、イベントやメディア出演でおなじみのメンバーばかり。MC役の3人にライブへの期待感などを聞いてみた。
「このライブを楽しむぞ、と全員が思っています」と声をそろえた3人。
「年齢も芸歴も一番下なので、初開催でMCの機会をいただけたのは貴重な経験です。事務所の先輩が台本を書いたので、その癒着かもしれません(笑)。今後は漫才を披露できるように頑張ります」(山城みなとさん)
「イベント出演やお互いのライブにゲストで出るなど事務所を超えた共演はありましたが、3事務所が一緒に企画して開催するライブの一発目。MC役はありがたく、進行について3人で相談するのも楽しいです」(TOMOKIさん)
「ライブの継続はもちろん、今後はイベントや他の活動も広がっていくといいなと思っています。高い志を持ちたい気持ち、そしてお笑いの人気番組は天井が高いスタジオで収録している印象があり、その2つの意味合いが『てんたか』。雑談でそんなことを話していたらライブ名として採用してもらえました(笑)」(松田しょうさん)
言いたい放題の舞台交流
ライブは大きな拍手の中でスタート。「一気に集まってどうしたらいいのか分からない新鮮な現場。楽屋はカオス。いろんな気持ちが混在している」などMCが状況を伝えた後に、出演芸人を紹介。前半はわさび・カシスオレンジ・しんとすけ・ありんくりん・ノーブレーキ、後半は知念だしんいちろう・ベンビー・ハンサム・初恋クロマニヨンという順で登場。
舞台は漫才ありコントあり。テーマはエイサーやユタなど沖縄色が強いものから、「仮面ライダーになりたい」と夢を語るものなど、それぞれが今一番やりたいネタを披露し爆笑を巻き起こした。
出番を終えて舞台に集合した時にはお互いのネタにツッコミを入れたり、近況を語ったりなど言いたい放題。普段あまり見られないような自由でナチュラルな交流シーンが、さらに笑いを誘った。
芸人を支える作家チーム
3事務所の協力はどういう背景があったのだろう。
「事務所の垣根を超えた芸人たちの交流が、盛んになってきました。その状況から事務所が発信するライブがあってもいいのではと代表同士で話し合い、計画したんです」とFECオフィス社長の山城智二さん。「ネタをしっかりと見てもらえる場がほしい」という芸人側の希望も取り入れたそうだ。
「ライブという器を事務所がつくり形が整ってきたら、芸人主体の場にしたいと考えています。若手が出て応援してもらえる枠もあるといいですし、余裕が出てきたら他事務所の芸人に参加してもらうのもいいですね。ライブ以外の取り組みも進めていきます」と構想を語る。また、作家チームが制作に関わるのもポイントだという。
「放送作家のキャンヒロユキさんをはじめ、一緒に面白いライブをつくっていこうと動いています。ライブも番組も芸人だけに託されると負担が大きくなるので、支えてくれる作家が必要。本土ではそれが一般的ですが、沖縄では確立されていないので、一歩ずつ進んでいきたいです」と山城さん。芸人が主役になり積極的に活動できる場づくりによって、表現に磨きがかかり幅を広げていくと考えている。
芸人ファーストを軸に3事務所が手掛ける「てんたか」ライブ他のプロジェクト。山城さんは「応援して育てていく気持ちで芸人やライブを見てくださったらうれしいです」とのこと。垣根を超えて誕生した、沖縄エンタメの新たなムーブメント。今後が楽しみだ。
(饒波貴子)
第2回開催決定!お笑いライブ「てんたか」
日時:6月7日(金)
開場19時30分/開演20時
会場:ライブハウス「Output」(那覇市牧志)
チケット:3000円(要1ドリンクオーダー)/配信2000円
問い合わせ:TEL098-861-5141 よしもとエンタテインメント沖縄
(2024年3月28日付 週刊レキオ掲載)