首里劇場に瑞泉酒造そして首里城。首里がロケ地の「不死鳥の翼」、「島ぜんぶでおーきな祭 第16回沖縄国際映画祭」で上映(3ページ目)


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何度でもよみがえる首里城とウチナーンチュ

―サックスを始めたきっかけは!? 6月にはライブを開催するんですね。

AKINA:3年前にサックスを吹いている女性をライブで見て、憧れの気持ちから始めました。サックスライブは緊張しながら必死でやっています。

監督:サックスを吹くと知り驚きましたが、本人が実際にやっていることは大切なポイントになります。撮影中は吹いてもらったのですぐに切ることができず、下から顔までを撮って本人がしっかり演奏している姿を収めました。自分で吹けるのでそのままシンプルに撮れるんです。不要なカットなどなくそのままで伝わるでしょうし、本人が演奏していると分かれば見ている人も耳をすまします。

―大城さん、沖縄の映画に関わった感想を教えてください。

大城:初めて沖縄の映画に出演しました。エキストラの経験は何回かありますが、台本をもらったことはありませんでした。以前沖縄の映画関係者に声を掛けましたが、障害のある人と一緒にやった経験がないので、どう進めていけばいいのか分からない、どんな風に台本に絡めるのがいいのか分からないと言われました。普段接する機会が少ないので、難しいんでしょうね。加えて手話通訳の費用もかかります。東京では撮影中に手話通訳士は2人必要で1時間13000円の費用がかかるので、「予算がありません」と言われた時には、苦労しながら何とか自分で頑張ってきました。

―そういう現実だったんですね。では今回、地元沖縄で「不死鳥の泉」に出演したのはうれしかったですね。

大城:はい。演技のワークショップに参加した時に岸本監督がたまたま見てくださって、機会をいただくことができました。

監督:演技の勉強をしていて本当にすごいと思ったんですよ。

―AKINAさんは時々沖縄作品に関わっていますね!?

AKINA:そうですね、ちょいちょいですが「空きありますか!?」という感じで関わっています(笑)。沖縄の作品に出られるのは、本当にうれしいんですよ。もう東京生活の方が長いですが、帰ってくる度に「お帰り~」ってみんなが手を広げて待ってくれています。幸せを感じますし両親も喜んでくれているので、里帰りできる喜びに感謝です。

監督:スタッフも自然に「お帰り~」と言って普通に接しています。

―「不死鳥の泉」はかわいらしい役柄で、AKINAさんにぴったりだったと思います。これからも時々は帰って来てください。

AKINA:役に合っていたなら良かったです。岸本監督、これからも待ってま~す(笑)!

―小橋川さんも沖縄出身ですが、東京での仕事と違いはありますか?

小橋川:東京に住んでいますが、沖縄関連の仕事の機会は割とあります。生まれた土地の作品に関われるのは、やっぱりうれしいですね。県外の作品ももちろん全部同じように真摯に取り組みますが、ちょっと違います。環境やスタッフさんの温度感、沖縄でしか撮れないものを沖縄の人たちで制作して、県外の人もそこに加わって撮るなど。その体制や状況が特別なものだと思っています。監督、僕もまた待ってま~す(笑)!

AKINA:3人とも待ってま~す(笑)!

―みなさん、プライベートで里帰りはしますか?

AKINA:「俺がいない時によく帰るよな」と夫に言われるくらい、よく帰ります。(笑)。家族で来るというより、勝手に決めて荷物まとめて帰るような感覚です(笑)。

監督:違う意味に聞こえて誤解されますよ(笑)。

小橋川:年に一回帰るか帰らないかです。もっと増やしたいですが妻が東京出身というのもあり、気軽に帰ったりはしていませんね。なので作品に関わって帰れることが最高にうれしいです。

大城:豊見城市出身の有名人に尚玄さんと上原多香子さんがいらっしゃいますが、私の地元でもあります。上原多香子さんは小中学校が同じで、先輩との縁で子どものころに遊んでもらったことがあるみたいです。私は覚えていなくて、教えてもらったんですけどね(笑)。

―大城さんも、沖縄で撮影する機会が増えるといいですね。岸本監督の新作に期待したいです。

監督:撮れるものなら撮りたいですよ(笑)、沖縄で撮りたいとずっと思っていますから。手を替え品を替え、脚本を用意してがんばります。

―「不死鳥の翼」2部作は、首里城は復元に向かっていると前向きな沖縄のアピールにもなります。一般公開が待ち遠しいです。

監督:何度も燃えて何度も再建される首里城は、不死鳥・フェニックスと言われることがあります。それなら沖縄の人は「不死鳥の翼」。翼を広げると希望が出てきます。「夢の残像」の残像は映画のことで、「不死鳥の泉」の泉は泡盛。映画と泡盛を描いたこの2部作に、ウチナーンチュを表現する「不死鳥の翼」というカッコいいタイトルを付けました。何度でもよみがえるのが僕らウチナーンチュだと思って作った作品です。

AKINA・小橋川:はい、私たちは何度でもよみがえりますよ(笑)!

舞台あいさつには主要メンバーが集合。(後列右から)岸本司監督、光徳瞬さん、山内千草さん、蓬莱つくしさん。(前列右から)大城桜子さん、AKINAさん、嘉人さん、真栄城美鈴さん
舞台あいさつには主要メンバーが集合。(後列右から)岸本司監督、光徳瞬さん、山内千草さん、蓬莱つくしさん。(前列右から)大城桜子さん、AKINAさん、小橋川嘉人さん、真栄城美鈴さん

インフォメーション

『不死鳥の翼』

2024年/日本
監督:岸本司
出演:AKINA、小橋川嘉人、大城桜子、新垣正弘、城間やよい、真栄城美鈴、蓬莱つくし

ストーリー

2019年に焼失した首里城をテーマに、琉球の古都首里を舞台にした2つのオムニバス物語。

エピソード1「夢の残像」:俳優を諦め帰郷した下地尚伸(小橋川嘉人)が昔から通っていた映画館、首里劇場で働く事に。出会う人々との交流を描く。

エピソード2「不死鳥の泉」:瑞泉酒造で働きだした赤田奏(AKINA)は、幼なじみの香(大城桜子)から映画を作りたいと相談され酒造所メンバーと一緒に映画を作る事になるが…。

(C)岸本商店
(C)岸本商店
饒波貴子 のは・たかこ

那覇市出身・在住のフリーライター。学校卒業後OL生活を続けていたが2005年、子どものころから親しんでいた中華芸能関連の記事執筆の依頼を機に、ライターに転身。週刊レキオ編集室勤務などを経て、現在はエンタメ専門ライターを目指し修行中。ライブで見るお笑い・演劇・音楽の楽しさを、多くの人に紹介したい。