社会

横断幕、誰が設置? 販売店巻き込み大捜索 糸満「三枚肉の日」【ウェブ限定】

目を引く横断幕。設置したのはいったい誰?=3月27日、糸満市内

【糸満】謎の横断幕を設置したのは誰? 糸満市内で取材途中に偶然見掛けた「3月29日は三枚肉の日」という不思議な横断幕。主催者などの記述はなく、どこの誰が設置したのか分からない。「三枚肉ジョーグ(好き)に悪い人はいない!」という文言が頭から離れず、琉球新報販売店を巻き込んだ大捜索が始まった。
 横断幕には「第28回おいしく三枚肉を食べましょう」と記されている。28年も「三枚肉の日」をアピールしているのだから、糸満市役所で聞けば分かるだろうと思い、秘書広報課に問い合わせた。ところが、横断幕の存在すら知らないという。農政課にも聞いたが分からない。JAおきなわ糸満支店とファーマーズマーケットいとまん「うまんちゅ市場」でも分からず、謎は深まるばかり…。
 捜索が難航し、諦めかけたころ、コミュニティー放送局「FMたまん」から貴重な情報が寄せられた。
 「設置者は山元朝滋(ちょうじ)さん。自営業で、以前は字糸満に事務所があったと思う」
 氏名は判明した。しかし連絡先が分からない。電話帳にもない。琉球新報糸満販売センター販売店店主の國吉真信さん(54)に協力を求めた。実は國吉さん、昨年横断幕を発見し、市内の飲食店をまわって設置者を探したが見つからなかったという。今年も横断幕の存在は気になっていたといい、「探してみます」と捜索に参加してくれた。
 3日後。「連絡先が分かりました」。國吉さんから吉報が届いた。別の販売店の店主、上原芳史さんにも協力を仰いで地域で聞き込みし、「山元朝滋さん」にたどり着いたそうだ。


山元朝滋さんに贈られたユーモアたっぷりの表彰状

 やっとの思いで実現した山元さんへの取材当日。〝捜索隊〟の國吉さんも同席し、横断幕の真相を聞いた。山元さんは28年間、誰に頼まれるわけでもなく、見返りも求めず、ただただ「三枚肉を食べましょう」と呼び掛けてきた。「肉屋に間違われることもありますが、私はただの三枚肉ジョーグーです」。真面目に語る山元さんの熱量に圧倒されながら、気付けば1時間半がたっていた。
 取材後、國吉さんは、三枚肉への無償の愛に敬意を表し、山元さんへ表彰状を贈った。山元さんは「今までで一番うれしい賞状」と満面の笑みで受け取り、目には光るものが。「三枚肉ジョーグーに悪い人はいない」を確信させた瞬間だった。
 一枚の横断幕をめぐる捜索劇は、日々読者の隣で活動する〝販売店パワー〟をあらためて気付かせてくれた。読者と記者をつなぐ販売店と共に、これからも地域に根ざした情報を発信していく。(豊浜由紀子)



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