しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い休業や失業で困窮する世帯が増える中、4月中旬から子ども食堂の方と連携して希望のあった母子世帯へ弁当や食料品を無料で配っている。受け取っているのは45世帯で約160人。小中学校の休校で食費がかさみ、光熱費も増えている。1食でも食費を浮かせたいと、どの家庭も必死だ。
4月27日から5月5日まで、ひとり親世帯を対象に新型コロナ感染拡大の生活への影響を聞くアンケートを実施した。回答者33人の平均年齢は29・7歳、子どもの人数は平均1・7人だった。就労形態は非正規雇用が約6割を占め、正規雇用は約3割だった。約9割が低所得者が受給する「児童扶養手当」を受けている。3分の2がコロナで仕事や収入に影響があったと答えた。約9割が母子のみで暮らす世帯で、保育園が休園になり子どもを見るため仕事を休まざるを得ない人が一定割合いた。特に非正規雇用の場合、休んだ日数の分、収入が減る。また多くのひとり親が、自分がコロナに感染したら子どもの面倒を見る人が誰もいなくなることにおびえきっていた。
私たちは5月に入ってから寄付金で米や米券の郵送を県内の母子世帯に行っている。メルマガで呼び掛けると、2日のうちに40人近くから申し込みがあった。収入が減ったり失業したりした人が6割を占め、4月よりもさらに状況が悪化していた。
実際、「もう食料がありません」と私たちにつながったいくつかの家庭では職場が休業して収入が途絶え、知人らから借金して家賃や光熱費を支払い、家族の食事は1日1食。入ってきた手当はそのまま借金の返済に回り手元に残らない。車検代も払えず、車も使えない。1年生なのにランドセルを準備することもできない、という一刻を争うものばかりだ。直近の沖縄県の「ひとり親世帯調査」でひとり親世帯の半分以上が貯蓄ゼロと答えている。余力がないのでわずか一カ月でも収入が減り、逆に支出が増えると即座に家計が崩壊してしまう。
県が実施した「沖縄子ども調査」で沖縄のひとり親世帯の貧困率は58・6%に上り、全国で最も困窮している。県は子どもの貧困対策に積極的に取り組んでいるが、新型コロナの感染拡大に伴う県や市町村など各自治体のひとり親世帯への支援には危機感が乏しいと感じる。
ひとり親は自ら「助けて」となかなか言えない。ひとり親自身が周りに甘えてはいけない、頑張らなくてはならないと責任を課しているからだ。今回のように社会全体が厳しい状況に置かれている場合はなおさら声をあげにくい。だからこそ、行政は県のひとり親世帯調査の結果を踏まえ、手遅れにならないよう支援策を実行しなければならない。
5月にも仕事に就けなかった非正規のひとり親は5月に続いて6月の就労収入はない。7月の児童扶養手当、8月に予定されている臨時給付を待たず、自治体は6月の親子の生活を責任持って支えなければならない。
(随時掲載)
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あきよし・はるこ 1964年、大阪府生まれ。99年に沖縄移住。会社員。離婚・非婚・死別のシングルマザーの当事者でつくる「しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄」代表。沖縄セーフティーネット協議会共同代表