玉城知事「一部に過ぎない」 国の辺野古埋め立て発表をけん制


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 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設で沖縄防衛局が一部の埋め立てを終えたと発表したことを受け、玉城デニー沖縄県知事は1日、文書で声明を出し「工事全体の一部に過ぎない」とけん制した。

 玉城知事は政府の姿勢について「一部の区域の埋め立てが完了したことで工事が順調に進捗しているかのようにアピールしている」と指摘。県の試算では8月末時点で土砂投入量は全体の3・2%にとどまるとし「全体の完成の見通しが全く立てられないのが現状だ」と強調した。

 防衛局は2018年12月から土砂投入を始めた辺野古崎近くの埋め立て区域について、県に通知した高さまでの埋め立てが20年9月30日に完了したと同10月1日発表した。県に通知した高さは大部分が海面から3・1㍍の高さで、一部護岸沿いが4㍍。完成にはさらなる埋め立てが必要だ。

 今年3月、防衛局は土砂を上乗せする工事を発注している。さらに、防衛局の資料で外周護岸の最終的な高さは海面から8・1㍍となっており、埋め立て地も最終的には約8㍍までかさ上げするとみられる。

 今回防衛局が完了を発表した3・1㍍までの工事は当初20年3月終了予定だったが、二度の延長で同9月末の終了予定となっていた。

 一方、大浦湾側の工事予定海域では軟弱地盤が見つかり、防衛局は着工できていない。地盤を強くする工事を追加するため設計を変え、改めて認めるよう県に申請している。【琉球新報電子版】