チラッチラッと光る不思議を発見!
サンゴの体の中には植物プランクトンが住んでいて、光合成で作った栄養をサンゴにあげている、という話は聞いたことがありますか?この植物プランクトン、サンゴにとっては無二の親友、自分の命をつなぐ相棒のような存在で、名前を褐虫藻(かっちゅうそう)といいます。
この褐虫藻、実はいくつか種類があって、サンゴ以外の生きものとも共生します。その相手の一つが、二枚貝の仲間です。二枚貝の多くは砂の中で暮らしますが、シャコガイが住むのは岩の上。日当たりの良い、浅い岩礁の穴の中にはまっています。外に広げた美しい部分は、外套膜(がいとうまく)。ここに褐虫藻が住んで、光合成を行い、その栄養を貝に分けています。
シャコガイの外套膜はブルーやグリーンの美しいものから、茶色っぽいものまでさまざま。それに対し、外套膜は地味だけれど、同じように褐虫藻を持つ貝もいます。その一つが、カワラガイ。貝殻の表面に、赤瓦のような飾りが並んでいます。でも、普段は海草の生える砂地に潜っているので見えません。白黒まだらの外套膜だけを、砂の上に広げます。面白いのは、外套膜が時々チラッチラッと白く光るように見えること!でも、これが何の反応なのかよく分かりません。膜を動かすと、光の加減で構造的に色が変わって見えるのか、自分で色を変えるのか。小さな不思議をまた一つ見つけました。
Vol. 32 ヒメジャコガイ
Tridacna crosea
● 目:マルスダレガイ目 Veneroida
● 科:ザルガイ科 Cardiidae
● 属:シャコガイ属 Tridacna
動画撮影:
ヒメジャコガイ 2020年9月18日(浦添市 西海岸パルコ前)
カワラガイ 2020年5月18日(浦添市 港川カーミージー)
動画撮影・編集&執筆
鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)
琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。
鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)
東洋大、琉球大卒。東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。手作りぬいぐるみで海を伝える、あーまんシアターも主宰。
これも読みたい!
◆【動画】タカラガイがツヤピカなのには秘密があった〈沖縄・海の生き物たちvol.8〉
https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-822751.html
◆【動画】岩の上の定位置に戻る賢いやつ カラマツガイの仲間たち<沖縄・海の生き物たちVol.17>
https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-961016.html
◆【動画】イソギンチャクのふりしてダンス!?〜泳ぐ二枚貝・ユキミノガイ〜<沖縄・海の生き物たちVol.30>
https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-1173359.html