エヴァンゲリオンと沖縄 飛び回るオスプレイ、沖縄風居酒屋が登場<アニメは沖縄の夢を見るか>(10)


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挿絵・吉川由季恵

 つい先日、庵野秀明の新作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の公開が再度の延期と発表され、ファンをがっかりさせた。庵野の初監督作『トップをねらえ!』(1988)では、2021年の沖縄が舞台となったものの、本連載の第2回で触れたように、まだ沖縄ブームの影響は見られなかった。

 庵野は1990年代半ばに、自身の代表作となるTVシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』(1995―1996)を手がけるが、その第10話では主人公・碇シンジが通う中学2年のクラスが修学旅行で沖縄へ向かう。旅程は沖縄本島から慶良間列島、宮古島へとまわる2泊3日のコースだった。ただしエヴァのパイロットであるシンジとレイ、アスカの3人は「敵」の来襲に備えて待機を命ぜられ、参加できない。従って劇中で沖縄の場面が具体的に描かれることはなかった。

 それから14年後の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(2009)には、沖縄風居酒屋の場面が出てくる。エヴァを指揮する葛城ミサトが、元恋人の加持リョウジと会っていた店だ。全国的な沖縄ブームの中で、東京などの大都市だけでなく、地方都市にもこうした沖縄風居酒屋の開店が相次いだ。沖縄料理や泡盛が出されて店内には島唄が流れ、ライブが行われる店もあった。

 ミサトと加持がいた店のBGMは島唄ではなく、ピンキーとキラーズの「恋の季節」だが、メニューには海ぶどう、ラフテー、ゆし豆腐、宮古焼きそばなどが見え、2人のテーブルには宮古・多良川酒造の「特選古酒 琉球王朝」が置かれている。これを受けて多良川がエヴァ仕様の泡盛を限定発売するなど、時代を画したアニメと沖縄ブームが相互に反響し合う現象があった。

 庵野が宮古島にこだわる背景は不明だが、仲間由紀恵が出演した実写映画『ラブ&ポップ』(1998)を監督した際にも、庵野はわざわざ宮古島でロケを行った。その一方で、「エヴァンゲリオン」シリーズにはV―22オスプレイがたびたび登場し、臨戦態勢下の日本の空を飛び回っている。

 もちろん沖縄ブームの影響は他のアニメにも及んできた。京アニ制作の『映画 けいおん!』(2011)では、旅行代理店の壁に沖縄離島ツアーのポップが貼られ、ハイビスカスがあしらわれていた。またボーダーインクの喜納えりかからは、NHKで放映された『映像研には手を出すな!』(2020)の情報をもらった。沖縄の「タウンプラザかねひで美浜店」にそっくりの店が、シリーズ第9話に一瞬登場するのだ。原作コミックには見当たらない店なので、沖縄好きのアニメスタッフが背景に紛れ込ませたものかもしれない。

 (岡山大学大学院非常勤講師)