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沖縄ツーリスト嵐の1年(上) 危機に即応、それでも売上高8割減<変革沖縄経済>6


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 「強烈なカウンターパンチを受けた」。県内旅行会社最大手、沖縄ツーリスト(OTS)の東良和会長は、コロナ禍の吹き荒れた2020年を振り返った。レンタカーを使う外国人旅行客(インバウンド)向けの包括的な保険の開発など、先駆的な取り組みを続けてきた沖縄を代表する旅行社も、新型コロナウイルスの打撃を受けている。

「強烈なカウンターパンチを受けた1年だった」とコロナ禍の2020年を振り返る沖縄ツーリストの東良和会長=1月29日、那覇市松尾の沖縄ツーリスト本社

 感染拡大当初は一般的でなかった雇用調整助成金についても、2月の早い段階で活用する方針を決め、適用対象が広がるのを見越して準備を進めた。

 しかし、人の往来が1年にわたって制限されるという異常事態の打撃は深刻だ。20年の売り上げは前年比で8割減少した。北海道で展開していたレンタカー事業を譲渡したこともあり、関連会社を含めて100人以上が退職した。

 政策にも翻弄(ほんろう)された。政府が年末年始の「Go To トラベル」を停止したことによって発生した、大量の予約キャンセルを受け付けることで、政府が穴埋めするキャンセル料をはるかに超える人件費負担がかさんでいる。東会長は「感染拡大防止のための機会損失は仕方ないが、人件費の補填(ほてん)もないまま後ろ向きな作業を押し付けられるのは、あまりにも理不尽だ」と話す。

 自助努力の範囲を超えた逆境に「野球で言えば、攻撃機会のない試合を続けさせられているようなものだ」とつぶやく。それでも、Go To トラベルに東京が追加された昨年10月、電話が一気に増えたことで、条件が好転すれば急速に回復する復活の弾力性を実感した。「観光が世界で最も成長性のある産業ということは変わらない。だからこそ、今をどう克服していくかが重要だ」と力を込めた。
 (変革沖縄経済取材班 沖田有吾)

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