ウミヘビの泳ぎは優雅、瞳も愛らしく
立春を過ぎた沖縄は、晴れれば気温が20度を超える暖かさ。そんな日は、寒さで動けなかった生きものも活動を始めます。
ある日、浅瀬でしましまを発見。ウミヘビです。水深が10cmしかないような場所にもやってきます。海に住むとはいえ爬虫類のヘビなので、呼吸をしに時々水面に顔を出します。
くっきりしたしま模様で、全体に青みがかったヒロオウミヘビ。夜行性ですが、昼間も活動することがあるそう。沖縄で燻製にされる「イラブー」エラブウミヘビに近い仲間で、どちらも海岸にはい上がって洞窟や岩場に卵を産みます。
浅瀬でよく見るクロガシラウミヘビは昼行性。白黒のしま模様は、黒い帯の背中側が少しだけ幅広く、横から見ると逆三角形っぽく見えます。顔はおおむね黒く、胴体よりもずいぶん細い。浅瀬の砂地に顔をつっこんで、餌になる小さなアナゴみたいな魚を探します。
ウミヘビの泳ぎは優雅で顔もかわいいけれど、強力な神経毒を持つコブラの仲間。もし噛まれたら、体の筋肉や呼吸、心臓が麻痺してしまうかも!ウミヘビは人が近づいてもあまり逃げず、クロガシラのように割と気が荒い種類もいます。ただ、口が小さく、こちらが手を出さなければ普通は噛まれません。もしウミヘビに出会ったら、少し離れて、ウミヘビのゆったりしたお散歩を見守ってあげてくださいね。
Vol. 36 クロガシラウミヘビ
Hydrophis melanocephalus
● 目:有鱗目 Squamata
● 科:コブラ科 Elapidae
● 属:ウミヘビ属 Hydrophis
動画撮影:
ヒロオウミヘビ 2018年4月27日(浦添市 カーミージー)
クロガシラウミヘビ 2020年2月12日(浦添市 カーミージー)
イイジマウミヘビ 2021年1月27日(浦添市 西海岸パルコ前)
動画撮影・編集&執筆
鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)
琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。
鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)
東洋大、琉球大卒。東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。手作りぬいぐるみで海を伝える、あーまんシアターも主宰。
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