結婚までの道のりは、平たんではなかった。「選択的夫婦別姓・陳情アクション沖縄」共同代表の眞鶴さやかさん(34)=うるま市=と夫の勇さん(38)は、妻の姓を名乗る「妻氏婚」を選択した。理解を得るのにかかった時間は約3年。「今も困っている人たちはいる。次の世代のためにも、別姓も選べるような社会にしたい」と話す。
「結婚しても眞鶴でいたい」。結婚を意識した2016年ごろ、さやかさんは勇さんに打ち明けた。張り詰めた表情で切り出された勇さんは「気持ちは分かった」と応じた。どちらかが改姓するか、それとも事実婚にするか―。2人で話し合い、法律婚で勇さんが改姓すると決めた。
だが、家族に伝えると強い反対にあう。「家族みんなに認めてもらいたい」との気持ちが強く、結婚は先延ばしに。さやかさんは「どちらも姓を変えずに済めばいいのに」との思いを強め、「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」に加入。うるま市議会に請願を出すなど活動をしてきた。
家族の理解を得て、婚姻届を出したのは19年10月。免許証や通帳などの更新をした勇さんは「多くの女性が面倒くさい手続きをさせられていると、身をもって知った」と話しつつ「個人的にはちょっと楽しんでいる」とおどける。結婚で改姓したと明かすと「婿養子になったの?」と聞かれるのが定番だ。「妻の姓を選んだだけ。婿養子とは違うのに、理解していない人が多い」と指摘する。
さやかさんは夫の改姓について「自分が嫌なことをさせてしまい、正直、罪悪感がある」と声を落とす。ただ、この感情は女性だから抱くのだとも思う。「多くの男性は、何の罪悪感もなく相手に改姓してもらっている」
制度が導入されると「幸せな人が増える」と言い切る。「選択肢が増えるだけ。改姓したい人は今まで通りできるし、したくない人はそのままでいられる」。それぞれが尊重される社会を目指して、実現を訴えていくつもりだ。
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