糸満・陣地壕で戦没者遺骨8体、2体は子どもか ボランティア発掘


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浜田哲二・律子夫妻が糸満市内の陣地壕から発掘した8体の遺骨=4日、糸満市(浜田哲二さん提供)

 【糸満】沖縄戦中に日本兵が使用していた糸満市の陣地壕で2月末から3月初めにかけ、沖縄戦戦没者とみられる8体の遺骨をボランティアが発掘した。当時、陣地壕を使用していた日本兵の証言を頼りに遺骨を見つけた。県戦没者遺骨収集情報センターに納骨し、厚生労働省にDNA鑑定を申し入れる。

 陣地壕は戦時中、第24師団歩兵第32連隊第1大隊が使用していた。発掘したのは、約20年にわたって沖縄に通い遺骨収集を続けている写真家の浜田哲二さん(58)と執筆家の律子さん(56)夫妻=青森県。交流を続けていた同大隊の生存者、伊東孝一元大隊長(昨年99歳で死去)らの証言などを頼りに遺骨を見つけた。哲二さんは「少しでも多くの遺族に遺骨を返したい。沖縄にはまだまだ遺骨が残っていることを知ってもらいたい」と話した。

 8体の遺骨の中には、小さな上腕骨が二つあり、乳歯も発見されたことから、2体は子どもと推測される。治療痕がある歯は高齢者、残り5体は証言や記録などから日本兵とみられる。周囲に薬きょうや手りゅう弾がないことから、哲二さんは「攻撃されて亡くなったのではなく、埋葬されたのではないか」と推測した。

 哲二さんは全国紙の記者だった30代後半、取材で訪れた沖縄で「マスコミは戦後、何年という節目にしか沖縄に来ない。君の足元にも戦没者の骨が埋まっているよ」と言われたことをきっかけに、現在まで遺骨収集を続けている。浜田夫妻は数日後には沖縄を発ち、全国各地の遺族を訪ねる。哲二さんは「遺族の多くは(遺骨が戻ってくることを)諦めていない。今後も収集を続ける」と話した。

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